>>362 より続き

いやーここ良かった。慶喜が言っていることってよーく考えると「凄いきれいごと」なのだが(何しろ、元首の立場は新たな国のため
の橋渡しに過ぎなくて、それが終われば自分の役割は終わりと言うのだから)、今まで慶喜の立場や考えを描き、幕末の政治状況を幕
府側からと薩長側からと両方きちんと描いてきたので、「うんうん、この慶喜なら分かるよ!」と言う気持ちになる。

これが大抵の作品だと「きれいごと」をうまく描けなくて、主人公が偽善者に見えたり、話に無理がありすぎたり、主人公上げをする
ために「必要以上に悪く描かれる人」が出てきたりするものだが、本作そう言うことがなく「慶喜のきれいごと」が理解できるのがい
い。だからこの後泥酔した寅之介が「戦いましょうぞ!大政奉還など我慢なりませぬ!!」と言うのも、この慶喜を見ていればそりゃ
そう思うだろうなと納得してしまう。

そして老中たち幕臣も、倒幕側の薩長も「慶喜のきれいごと」を理解できないと言うのも分かる(慶喜の政治手腕に、西郷も大久保も
慶喜を排除しないと安心できなくなっているからなぁ)。それを「慶喜の考えが理解できない西郷大久保は馬鹿」という単純な描き方
をしないのもいい。