以下に貼り付けるような文章を、ちゃんとした講評というのだと思った。

『おんな城主直虎』終わる 偽隠居やまねの戯言 2017-12-30
http://yamane-blog.hatenablog.com/entry/2017/12/30/025239

『真田丸』と二年続けて主人公にあまり魅力を感じず、大河にしては撮影が残念な場面が散見
され、音楽も――本来、菅野よう子作品は好きなのだが――好みではなかったし、脚本家の
手癖に辟易させられることもあった
が、
『風林火山』終了後、何度も死んでは息を吹き返しかけ、やっぱりだめで……を繰り返してきた
日曜夜8時のドラマが
この二年で新しい方向性を見出したようだ。
新しい学説を積極的に取り入れ、史実と創作を巧みに撚り合わせ、武田やら太守様やらの大
勢力に翻弄される国衆にとっての戦国を、生き生きと描き出していた。

20年以上前の大河にくらべれば豪勢な合戦シーンはない。が、そのかわり『直虎』では農耕や
植林に関して手間も予算も投じたのではないか。メーキング番組で、一日で広範囲の稲を刈り
取って次の場面につなげる作業が紹介されていた。裏方のみなさんの労力はいかばかりかと
思ったものだ。
小さな井伊家界隈の物語にしては、第一次産業から第三次産業まで幅広い職種を丁寧に描い
ていた。交渉の過程を地道に積み重ねた点も印象的。幼なじみ萌えというやつに縁がないので、
主人公周りの台詞で一番いいなぁと思ったのは、直之の「ここらが落としどころにござりましょう」。

『ハウス・オブ・カード』のように見るからにえげつないという作風でなく、時に甘口のBGMを流し
たりしていたが、実態はかなりシビアなポリティカル・ドラマである。力がない者が生き残るため
には身内を切り捨てなければならない、あるいは知恵を絞って極上品で強者の機嫌を取らねば
ならない。最大の力を得た者は、好むと好まざるとにかかわらず、二番手の弱体化を図らざるを
得ない。