孤独でエキセントリック?
本来の人間性という面からはちょっと違うような。後白河ならわかるけど。
しかし、時代に先駆けて修羅の道を歩む、孤独な権力者清盛の姿が確かに見られた。

清盛像に関しては、1落胤=初期設定、2無頼エピ、3考証高橋の学説、によって基本形が与えられ、
この基本形が本質的部分で不変であり続けながらも、大きく変貌していった。
当初はウジウジ出自に悩む孤独な青年でもあったが、同時にヤンチャで荒々しく開放的で人なつこい清盛でもあった。
自我危機は早々に脱してしまったこともあり、どちらかといえば、好奇心溢れ行動的なツッパリ青年
のイメージの方が印象に残った(武士とはどうあるべきか、忠盛に反抗しながら模索した部分含めて)。

精力的な壮年清盛はタフガイであり、規格外であっても、人間性や行動に異常さを伺わせるところがほとんどない。
出家後の冷酷なマキャベリスト清盛は、残された時間とやるべき仕事とを計算した上でのことで、
狂気ではなく清盛の合理性がもたらした変貌だろう。この時期の清盛が「修羅の道を一人行く」孤独な清盛※。
そうすると最晩年、狂気の闇に閉ざされた清盛は、「白河化」による一時的な逸脱と考えた方が良い。
現に最後は、静かなファイトを燃やす透徹した武士清盛へ戻っていった。

ということで、トータルで眺めた場合の清盛は、「孤独」「変」「狂気」といったキーワードよりも、
「豊かな発想をもち行動力も伴う、スケールの大きな常識人にしてタフな政治家」と評するのが相応しいと思っている。
粘り強い精神と努力の人清盛は(文武双方特記事項なし)、決して天才型ではなく、白河落胤説に立っても、
清盛の出世と栄達そして業績は、あくまでも人間力含めた本人の実力によって勝ち取り、
成し遂げたものであることに注意したい(忠盛が遺した大きな遺産=軍事力&財力を活用する才能も重要)。

※人間性の次元というより、巨大なものを背負った権力者に通有する姿だろう。