ラブコメと言ったら、御曹司2人による「ろくでもない求婚byナレ朝」話。

本当にろくでもなくて笑わせてくれたが、荘重なたまこの死と大騒動となった祇園社事件の間に挟んで
ストーリーに緩急をつけた点でも、巧みなラブコメ挿入であった。
たまこの死は1145年、宗盛誕生と頼朝誕生はいずれも祇園社事件が発生した1147年であることから、
時系列的にもズバり適合するエピである。

内容的には、
・義朝=由良はズバリ義朝の打算(上西門院と近い熱田神宮の姫を正室に迎え、上昇のきっかけをつかむ〜俺の子を産め!)。
・清盛=時子は、最愛と言われる明子との対比(これが後に時子&宗盛と重盛との軋轢・葛藤を生む)。
他方、相思相愛のラブで結ばれたカップルは、
・清盛=明子と後白河=滋子の二組そして源氏義朝=常盤のみ(重盛=経子も重盛は好いていたが、本質は政略結婚。
また新平家では長々と主題化した清盛=常盤は、寡婦となった常盤と子供たちの生存配慮という義務的行為に特化→妾)。
平氏の2組についてのみ、大河清盛は恋愛にも力を入れていたが、それは恋愛描写すら歴史劇の観点から軽重を判断する姿勢の表れだろう。
いわゆる脱線恋バナとは清盛はきっぱり縁を切っていた。
さらに特殊な「恋愛」として、
・王家の高貴な方たちの色恋沙汰(白河、鳥羽、たまこ、なりこ)がある。これらは、現代の価値観からは理解不能な別世界のものであり、
ドラマも異常性を強調した(昼ドラ)。

こうして振り返ると、清盛=時子、義朝=由良の結婚を、恋バナというよりラブコメとした脚本家の選択眼に、ここでも驚かされてしまう。