高杉「鳥小屋の話は、面白かったですよ」
龍馬「高杉さん…」
高杉「君らは鶏じゃと言われたんは初めてじゃ」
龍馬「あれは本心ぜよ。わしは長州が藩論を変え独立すると聞いた時、まっこと感心したがぜよ。それほどの藩が、まだ薩摩と啀み合うちう。それが残念でならんぜよ」

高杉「薩摩だけじゃありませんよ。幕府に従う藩は、みんな敵です」
伊藤「わしらは留学して海の外で起きてることをこの目で見てきたんじゃ」
高杉「僕は上海に行きました」
龍馬「上海?」
高杉「奴隷にされた清国人やインド人が足枷と鎖に繋がれ、犬や馬のようにこき使われとるんですわ。むごかったのお…」
伊藤「西洋人の侵略はすぐそこまで迫っちょる。不平等条約の時も、幕府はそれらを知りながら、ずっとひた隠しにしてきたんじゃ」
高杉「間違っちょるんは異国におもねって何の策も示せん幕府と、黙ってそれに付き従う諸藩じゃないんか?」
伊藤「じゃけえわしらは戦うんじゃ」
龍馬「高杉さん…」
高杉「多勢に無勢。圧倒的に不利じゃが、ただではやられんよ僕らは。正義は長州にありと信じちょりますからね」

蔵太「龍馬。ここでお別れじゃ。わしはあの人達を守らんといかん。高杉さんはああ言うとるけんど、勝ち目はないぜよ」
龍馬「わしは長州を誤解しちょったぜよ。あれほどの見識と覚悟を持っちょったとはのう…」
蔵太「その長州を幕府は滅ぼそうとしゆうがじゃ。知られてはならんことを知った長州の人々を、一人残らず皆殺しにする気ぜよ」
「こんなことがあってええがかえ。龍馬」