>>50
ほぼ脚本通りの台詞で進行した7話で、[海賊王]は「義と賊、二つの価値の逆転可能性」を巡る
2人の興味深い問答のキーワードとして用いられた。
旧支配秩序が新支配秩序にとって替わられれば、それまでの義は悪となり、義と悪はひっくり返る。
ところで、現体制の矛盾と政策の不在が生みだした悪こそが、猛威を振るった海賊の跋扈だ(by信西通憲)。
しかし、この巨悪を率いる海賊のボスが覇を握れば、これまで民を虐げたきた王家が賊に転落するだろう。

こう嘯いた兎丸の「海賊王」論に清盛は共鳴、「お前とは気があうぜー」と意気投合しかかった。
この時は幼い無邪気な考えにすぎなくとも、ここで言う義と賊との転換論は、貴族体制を打破して
武士の世を目指すこととなる清盛に、少なからぬヒントを与えたに違いない。
このように兎丸の[海賊王]は、漫画のパクリに止まるものではなく、かなり重要な射程をもつものであった。

以上、兎丸の「海賊王」は、ノベでの会話から再現することができる。他方で、清盛の「海賊王になるぞー」は、
ノベには見当たらない (「得意げな顔をした薄汚い風態をした男がいる。清盛は真っ黒い顔に真っ白い歯を見せて
笑っていた」。時子「何あれ」と幻滅w)。
このノベでの対比に加えて、DVDの特典映像に収録されたメイキングシーンを見た購入者からの報告で、
「あれは松ケンのアドリブ」との指摘がこれまで繰り返しなされてきた(ツイなど)。