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>翌朝、千遥は出汁をとっています。そこへ、義母・雅子がやって来ます。
>1976年上半期『雲のじゅうたん』から浅茅陽子さん。アベンジャーズ枠ですね。

>「清二、帰ってきてない?」
>ちなみにこの杉山清二って、渡辺謙さんの息子である渡辺大さんではあるのですが。良い役ではなさそうですね。
>暗い顔で、千遥がうなずきます。「そのうち目がさめるわよ」「私の所に、戻らないと思います」
>「そんなこと言ったって、この店は、清二のものですからねぇ」でた。無神経な姑発言だ。
>よかったことは、千遥が結婚していることくらいか。少なくとも、妾ではないと。

>嫁ぎ先から夫を武力討伐めいたやり方で追い出しかけた。
>そんな下克上朝ドラヒロイン・2013年下半期『ごちそうさん』のめ以子もおりますが。あれはただ、おんな城主になれるくらい
>強すぎただけだから。

>でも千遥はそうじゃない。
>「お義母さん、お話したいことがあります。清二さんとも、きちんと話をさせてください」
>「離婚したいってこと?」「お願いします」

>残酷すぎて、もう、声も出ない。千遥には行き場所がない。店も彼女のものにはならない。
>味も。客も。経営も。育児だって、彼女が頑張った成果だろうに。
>家のことも、店のことも、妻と母にぶん投げている。夫は今頃、別の女の元でヘラヘラしているのでしょうか。

>ここで雅子が、うちの息子がダメだと言えば、まだマシだったかもしれない……。
>この雅子は、外聞は抜群によろしいとは想像できる。
>どーんと構えていて、細かいことに目くじらを立てず、男を立てるいい女。さすが女将だね。夫を立てて、逆らわない。
>息子のこともどーんと構えて、泳がせている。

>いい女、いい妻、いい母。女将みたいな賢い女の手のひらの中で、男は操られて生きているわけよ。
>いやあ、馬鹿な男なんて、女に頭が上がらないんだよね。そう思って、疑問も抱かずに生きてきたのでしょう。
>それが彼女の生存戦略でもあった。そういうことをどうしたって想像してしまう。

>辻褄は合う。千遥のやさしい義母が、太鼓判を押して進めてきた婚礼であることも。
>いくらいい家だと言われたところで、家族を捨てろと交換条件にしてくるあたり、奥歯に物が挟まったようなものはありました。

続きます