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>八郎は問いかけ、喜美子は答える。何が素晴らしい作品か?これに応じる本作の作り手は大変だ。
>こういう芸術性論は気になるところですし、視聴者の神経を逆撫でしかねないとは思う。それでもここのところずっとそこに突っ
>込んできてはいる。

>芸術論の危険性を痛感したのは『半分、青い。』でした。
>あの作品で、鈴愛が芸術性の枯渇を自覚し漫画家を断念すると、その時点で叩きが圧倒的ではあった。
>しかも、本職の漫画家、趣味で漫画を書いている同人作家。そういう人の激怒が半端なかった。

>あれはどういうことか?やっと理解ができてきた。誰しも、クリエイターは迎合しますよね。
>自分が本当に作りたいものを、周囲から「難解だ」「妥協しろ」と言われて曲げる。
>そこを曲げるかどうかの葛藤は、なまじ経験があると生々しくて、妥協できない鈴愛はムカつく奴になるわけですよ。
>「芸術性なんて捨てろ。絵のスキルを使って、星占いカットを描いて生きていけばいい。何様のつもりだ!」と、いうわけです。
>そういうパンドラの箱をあのドラマでは開けてしまった。

>あのドラマの脚本家にせよ、『なつぞら』の主演にせよ。自由で自己解放をするからこそ、憎悪を買っていると思う。
>検索エンジンのせいか、彼女らのニュースが流れてくるわけですが、些細な言動にケチをつけるニュースまみれで、もううっすら
>とした異常性すら感じてしまいます。

>どういうことだろう?ウェブニュースは共感の溜まる場所です。
>理詰めでの正しいかどうかよりも、共感に迎合すればアクセス数を稼げる。
>だからどんどん低い方に流れて、ただの生意気な女の悪口だの、アナウンサーの胸の大きさがすごいだの、そういう記事が量産さ
>れてゆく。

>その到達点を2010年代で見たはずです。
>ヘイト本が並ぶ書店。主張する女性を「はしたない」と叩いて溜飲を下げる自称普通の常識人。
>口コミサイトの荒らし。やらせレビュー。芸能人がSNSで勧めるステマ騒動。漫画家によるステマレビュー事件。

>もう、2010年代にそういうものは置き去りにしましょう。
>2020年の年末年始は、日本のSNSトレンドが世界と比較しておかしいと証明された機会でもあった。
>共感に迎合ばかりしていると、痛い目に遭う。そんな2020年代の到来です。

続きます