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>そして斎藤義龍ですが。彼もコミニケーションエラーに苦しんでいます。
>父・道三の割を食ったようで。彼の物語は劇的で、きっちり完結していると思えました。悲劇的な男です。

>光秀を追い求め、必要としているのに、そのことに気づけたのは、彼を失ってからだった。
>美濃の国を得た結果、自分の本音を語りあえる唯一無二の存在を失ってしまった。
>義龍は「自我なき人間」の悲劇そのもののようにも思えます。
>土岐頼芸や稲葉良通の、利害関係ありきの応援や期待が流れ込み、流されるままに悪事をやらかしてしま
う。
>道三から得られぬ優しさを求め、それにすがりついてしまった。人とは優しくされたがっているものです。

>優しい口調でくるんだ自分と同じ意見を求めてしまう。その優しさとは、自分にとって都合が良いというこ
>とでもある。都合が悪いことは、それがたとえ真実だろうと【悪】となってしまう。
>そう流されてしまって、光秀も【悪】だと遠ざけ、首を刎ねるとすら言い切った。
>けれども自分の気持ちと向き合ってみれば、光秀は【悪】どころか、求めてやまないものだとわかったので
す。

>彼の父・道三は、孤高大好きではあっても、話し相手や意見は欲しい。うわべの優しさよりも、正直さを求
>めていた。
>孤独で、自分の力が試される状況が大好きで、それを愛してはいる。けれども、自分の価値観や考えを受け
>入れて、正直に話し合える人がいるとうれしかった。

>そういう父の境地に至ることもなくさまよい、本当に必要な光秀のことをやっと悟り、再会もできた。そ
>れなのに相手は頑固で素直で、結局自分を受け入れてくれない。
>圧倒的な孤独が完成しきっていて、悲しくてたまらないものがありました。

続きます