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>永禄7年(1564年)冬。桶狭間から四年――越前国では、明智光秀が清貧の日々を送っておりました。
>長女のお岸が育ってきました。どうやら明智家は、左馬助が働いて収入を得ているようです。
>その左馬助はこう言うのです。
>またです、難しい顔をして書物を読んでいるって。剣術の稽古でもしなければ体が鈍るってさ。

>嗚呼、左馬助よ……。
>彼は極めて善人で、父・光安そっくりで、明智家を支えているけれども。当主である光秀を完全に理解してい
>るわけではないのでしょう。タイプが違うんだ。

>コロナの時代、人間にはいろいろな種類がいて、重なり合わないこともあると判明してきました。人類史は
>どうやら新局面にあるようです。
>で、そんな2020年代に光秀と左馬助がいたらどうなのか?
>想像はつきます。光秀は、リモートワークで驚異的な効率を発揮し、波にこれから乗ってしまう。
>左馬助は、「こんなことではストレス溜まるよ!」と、不調に突っ込んでいく。
>光秀みたいなタイプは、ああやって難しい顔で読書することで、心身ともに鍛えられるのではないでしょう
>か。そっとしておくのが良さそうです。

>煕子はそんな夫を理解しています。何かお考えがあるのだと嗜めます。
>そんな明智夫妻には、二人目の娘がおりました。たまという名前です。

続きます