938 1ページ目

>「同じ所に住めるなど、ゆめにも思いませんでした。伝吾、覚えておるか。十一年前そなたは言うてくれた」
>この先、十年、二十年、皆で守っていくと誓っていました。
>「まことに守ってくれたのですね」「それが私の務めでございます」

>素晴らしいものがあります。そこにいて、守ること。そのことで忠義を示した伝吾はえらい! 功績を自慢するわけでも
>なく、謙虚に守り続ける。「私の務め」という言葉が重いな〜。
>そんな明智荘に、村の衆も集まってきます。
>米俵を担ぎ、稲穂を牧に差し出す。頭を下げて、酒を互いに飲む。平穏とはこういうことかと思える場面です。

美濃を去る時も思ったが、伝吾にしろ明智荘の住人にしろ、光秀との関りがあまり描写されなかったので(光秀も明智荘
のことを思い出している風でもないし)、こういうシーンが全く感動的に見えない。義龍に「代わりの領地を与える」と
言われた時に急に焦りだしたのも唐突だったし。

こういうシーンを描きたいならば、「真田丸」の昌幸位「自分の土地に執着するところ」を(まぁ描き方は他にもいろい
ろあるだろうが)見せておいたら良かったのに。

>なんでも龍興は、古くからの御家来衆に裏切られたそうです。
>当主としての器に欠けるところがあり、皆の心が少しづつ離れていったとか。なんだか暗いものが見えてきた。
>時に当主に冷たい態度を取り、おだてていた、家臣の顔が見えてくる。本作はいいですね。カリスマ性がないと、すぐ
>さま蹴落とされる、恐ろしい世界だ……。

まぁ14歳で家督を継げば周囲に舐められるのは仕方がないし、おまけに戦った相手は後の天下人の信長だからね。相手も
悪すぎた。それを考えると義龍は頑張ったはず、なのだが、そこら辺が全く描かれなかったのは残念である。

まぁこの作品の信長だと、自分の方向性まで同じく残念な男の光秀に決めてもらうという描写なので、『後の天下人』と
いう感じも伝わらないが。