>>115 より続き

しかし本作光秀は、キンジパ信長の様に周囲から「こいつ異常・・・」と言う目で見られている訳ではない。「真面目で真
っすぐで何故か人に好かれる」という描写がされている。こういう人が義龍にしろ、今回の義景にしろ「世話になったのに
裏切った」ということに何の感情もないというのは、キンジパ信長よりドン引きなのである。

「武田信玄」の話になるが、あれの山本勘助は信玄の命令で、元の主君、今川義元を裏切った(まぁ本作光秀の場合、今の
ところ 裏切り=相手の死 ではない所は勘助とは違うが)。しかしその時の勘助は複雑と言うか、沈痛な表情というかそ
ういう顔をしていた(何も言ってはいないが。それでこの時の勘助役の西田敏行の演技は素晴らしかった。また義元に別れ
を告げて、誰もいない所で膝をついて一礼するのもいい)。

勘助の場合、主君信玄の命令であり、好き好んで義元を裏切った訳ではない。しかも義元は「かつての主君」というだけ
で、それ程世話になったという訳でもなかった。それでも「裏切る」という事に対して、ちゃんとドラマがあったのであ
る。本作光秀の場合、あまりにもホイホイ裏切るので「勘助の爪でも垢を煎じて飲めやぁ!」という気分になる。