そう考えると今回の件、光秀がボンクラ、周りが持ち上げているだけって事を踏まえてみると、見え方がまるで変わってくる。

 山崎吉家は上司に讒言したいけど禄を貰っているから讒言できない、だから日頃から上司を蔑んだ目で見ているフリーター光秀を宴会に出席させる。
 光秀は光秀で直前まで織田と共闘を検討してたのに、上司の態度が気に食わず上司の言う事を屁理屈つけて真っ向から反対する。
 横で見ていたいろは太夫が上司が気に食わないなら織田に行くことを勧める。
 そこから地獄の毒殺コンボになるんですけど、よくよく考えると、光秀が決めた事って基本的に無くて全部利用されてるんですね。

 そこを踏まえてみると、光秀が義景の反対勢力にいいように利用されて、結果的に義景の息子が毒殺、光秀はその事実に気付くことなく織田の元に行くって流れなんです。基本的にボンクラの行動なんですよね。

 そして、最後の方に明確にボンクラとわかる会話が出てきます。光秀が国許を出立する時に「吉家様が国境まで送ってくれる」って話。
 これ、結局山崎吉家の思い通りになったからせめてもの礼として、そして山崎吉家が実権を握り軍を動かせるようになった事、それから義景に会いに行かないように見張りとして、色んな意味があると思うんです。
 普通の主人公ならここに気がつくんですね。
 あ、自分は利用されたなって。

 さらに「義景様には会うな」と釘を刺される。
 理由は特にありません。
 これもおかしな話です。あれだけ世話になった義景に挨拶もさせないのは。義景のダメな姿とか今まで見続けているはずなのに何を今更?直前に実行犯三渕挨拶来て普通に会話しているのに?
 結局、会わせたく無い理由があったんですね。間接的に光秀が義景の息子の毒殺の原因になった事を光秀に気付かせたく無かった。
 義景は気付いています。タイミングが義昭美濃行きの話が拗れた直後だったから。この状況下で光秀と義景を対面させると、義景は光秀を責めるでしょうし、光秀に真相が気づかれてしまいます。
 なら会わせられません。

 そして光秀は言います。
「しかし、誰が阿君丸様を……」
 ここで視聴者が言うべきは一つです。
「お前だよ!!」
 この一言につきます。

 視聴者にこの最後のツッコミをさせるために、今回の脚本が作られているんです。つまり、脚本からすると相当光秀は馬鹿と描かれている。
 そうでなければ山崎吉家の動きとタイミングがおかしすぎるんです。