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>けれども、かつて『日本戦史』という、陸軍参謀本部がくちばしをさんざん突っ込んだ書物ではそういう論調でして。
>歴史を学ぶというよりも、歴史をネタにしたプロパガンダをやってしまった感はある。

>私がその奇妙さに気づいたのは、「慶長出羽合戦」における直江兼続撤退戦の評価をに疑念を抱いたことでした。
>あの撤退戦は、最上義光がリップサービスして褒めてはいる。伊達政宗は「最上衆弱い! 最上衆弱い!」としつこく
>バカにしている(ただ、政宗は義光をバカにする傾向が強いのでそこは差し引きましょうか)。
 
>けれども、華麗な撤退とは言えない部分もあると思えたのです。
>山形と米沢間はそこまで距離が離れていない。
>直江兼続は撤退できたとはいえ、上杉軍の将兵で投降、戦死した者は多い。
 
>フィクションでは、最上勢を多く、直江勢を少なく描写することが多い。前田慶次らの活躍には、水増しも感じられ
る。
>当時の屏風や軍記を見るに、直江だけが突出してすごいという扱いではない。
 
>そう思いつつ調べていると、『日本戦史』で直江が絶賛されているという記載がありました。ハハァ、なんだか尻尾
>を掴んだ気がするぞ。そう思ったわけですが。

>そういう違和感を覚えると、日本の歴史ものフィクションには引っかかることが増えました。将の力量でガーッと
>ヒートアップして収めるタイプが多すぎる。中国史を題材にすると食い合わせがかなり悪く、兵法書を真面目に読
>んでいるのかと思うくらい、根性ゴリ押し展開が多くてついていけなることがあると。中国にせよ朝鮮半島にせ
>よ、将自らが勇気をアピールすると「くだらんことをするな!」と怒られることが徹底しておりますので。

続きます