「攘夷」というのはある意味常識なのかもしれない。
日本にとって脅威なわけだから。
だけど「敵を知り己を知らば」って言葉があるように、相手を研究する必要もあるね。
阿片戦争のショックも大きいけど、その前からロシアも来ていたし、アメリカの難破船を
助けていたし、一つ一つみていくと日本の対応は攘夷じゃない。外国も最初から威嚇では
なかった。

ペリーが高飛車に出たのも、前任者が日本でもてなされて丁寧に「鎖国は祖法ですから」
と断られ引き下がった失敗を受けてのことで、戦略的に高圧に出ただけ。幕末に来た外国人の
書いたものを見ても、普通の日本人は親切でマナーがよく村々は平和だと好意的に書かれていて
「攘夷」という思想があったとしても、個々に接する日本人は「攘夷」ではなかった。

そこから出発すればよかったのに、「攘夷」が観念として独り歩きしすぎてしまった感じが
する。無防備ではいけないが、オランダを通して情報収集していたし、すぐにお台場を築くほど
無能ではなかった。

米の収穫だけで藩財政を回していくことに限界が来ていたし、新しい世を望む気持ちもあった
だろうけど、こんなに優秀な人たちが死ななくても、という思いがどうしても湧き出てしまう。