旧幕府軍は崩れつつありましたが、ここで総大将の徳川慶喜が立ち上がれば戦の流れも代わったかも知れません。

しかし、戦が始まって4日目。
慶喜は味方の兵を置き去りにして、妾のふきと老中の板倉勝清・松平容保らを連れ、大阪城を抜け出し軍艦開陽丸に乗り込み、江戸に向かいました。

その知らせを聞いた薩摩の本陣では勝鬨をあげ一気に高揚しました。

そんな中、村田新八は西郷吉之助に吉之助の弟で病に倒れている信吾を見舞ってくれと頼みますが、吉之助は頑として受け入れません。

船で大阪を逃げ出した慶喜たちは嵐の中なんとか江戸にたどり着きました。

火鉢で暖を取り、鰻を食べていた慶喜でしたが、そこへ勝海舟が現れました。

「鰻なんざ食ってる場合か!」と勝は一喝します。
「戦に敗けたのも、徳川の名を貶めたのも、みんなあんただ。あんたは、徳川の恥だよ」と続けていいます。

「上様に何ということを!」と刀に手をかけた松平容保を慶喜が「言わせておけ!」と止めます。

すると、妾のふきが「あなたは西郷様が恐ろしいから逃げたんです」と口をはさみます。

「西郷様はお優しい方です。謝れば必ず許して下さいます」と続けます。

慶喜は激昂し、「出て行け!二度とその面を見せるな!」と言い放ちます。

ふきは「いいんですね」と憐憫な表情で念を推します。

勝も、「惨めだな」と言い捨て去って行きました。