文春の書き下ろしコラムより

源義経。ドラマなどで何度も描かれてきた坂本龍馬や織田信長と比べ、義経にはまだ描くべき余白がある。
解釈のしがいがあり、菅田将暉さんが演じることもあって書いていて楽しいです。
義経といえば、平家討伐後、頼朝の不興を買って鎌倉入りを許されなかった。
誤解を解きたい義経は、鎌倉から目と鼻の先の腰越から「悔しさで涙に血が滲む思いです」と、
大江広元を通じて兄に許しを請う手紙を出しています。これが世にいう「腰越状」です。
手紙から、義経のやりきれない気持ちや悲しみが伝わってくるという読み取り方が主流です。
前述したミュージカル「日本の歴史」でも、その解釈でした。でも今回、改めて注意深く手紙を読んでみると、
別の解釈もあるような気がしてきて、ドラマでは新解釈を提示しています。楽しみにしていて下さい。