■“本業”も攻めの姿勢

同時に本業の鉄道でも「質的改革」を進める。
伊豆方面へは「プレミアムグリーン車」を設けた新型観光特急「サフィール踊り子」を2020年春に運転開始する予定。
定員164人の8両編成2本を新造し、東京・新宿―伊豆急下田間で運行する。​

横須賀・総武快速線へは山手線と同じ新型車両「E235系」を2020年度から投入する。

中央線快速では5月下旬にトイレを備えた車両が営業運転を開始する。
ただ車両基地の改修工事が必要なため、 使用できるようになるのは2019年度末以降となるという。
さらに各駅のホームの延長工事に巨額の投資をしたうえで、2023年度末にグリーン車のサービス開始を目指す。

渋谷駅では埼京線ホームを北へ約350m移動させて山手線ホームと並べる工事が進む。
ある大手私鉄の首脳は「JRは埼玉方面から渋谷へ、これまで以上に人を呼び込もうとしているのではないか」と推し量る。

さらに、都心部と羽田空港を結ぶ新路線「羽田空港アクセス線」構想も動き出した。

駅改良工事などの目的が乗客の利便性向上であることは間違いないが、
将来の厳しい経営環境を見据えた収益力の強化という側面も見逃せない。
自社路線の付加価値を高めて利用者を囲い込みたいJR東日本のしたたかな戦略が着々と進んでいる。