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藤子(A)が劇中で特に心に残っているのが、相方・藤本の母親(桃井かおり)がトキワ荘に訪ねてきて、一泊するくだりだ。
トキワ荘での安孫子と藤本は4畳半1間に2人で暮らしていたが、その晩だけは安孫子が寺田の部屋に移り、藤本は母親と布団を並べた。

「悩んでいると思しき藤本氏に、桃井さん演じるお母さんが言うんですよ。『自分の好きなことを見つけられない人なんて、世の中にたくさんいるんだからね。ほとんどの人がそうなんだから。弘ちゃんはそれと出逢えたんだから、幸運なんだよ』って。このセリフには本当に感動しました。当時の僕らには漫画を描くという大きな目的があったので、他のことはほとんど捨てて故郷を出ましたから。トキワ荘にいるみんなが、そういう気持ちだったんです」