Q.NHKは民営化できないのか

A.放送法を改正してNHKを民営化することは、選択肢のひとつとしては考えられるかもしれませんが、NHKを民営化して、利潤確保のため視聴率競争を重視せざるをえない民放を、
日本の放送界にもう1社増やすことが、果たして視聴者のみなさまの利益につながるかどうか、慎重に考慮する必要があります。
視聴率競争によって、内容は優れているものの、視聴率が取れない番組は続けられないとなると、番組の画一化や質の低下が懸念されます。
地震災害や台風、国際的な大事件等、緊急時に行う長時間の報道や年間数十日にも及ぶ国会中継などの放送は、受信料で成り立つ公共放送だからこそ可能だと考えています。
子ども向けの番組や福祉番組などを半世紀にわたって地道に放送し続けている教育テレビや、海外に向けて多彩な情報を発信する国際放送は、商業ベースでは容易に成り立たないのではないでしょうか。
膨大な情報がはんらんする本格的なデジタル時代にあって、公共放送の役割はいっそう大事になっています。視聴者のみなさまに負担していただく受信料を基盤とすることで、
組織運営の独立性を保障された公共放送が、視聴率や市場原理にとらわれることなく、質の高い多様な放送を総合的に行うことが、これまで以上に重要になっていると考えています。

Q.民放は無料なのに、なぜNHKは受信料をとるのか

A. 日本の放送は、公共放送であるNHKと民間放送の二元体制のもとで、良い意味での競争を行い、それぞれの特色を生かして、視聴者のみなさまの要望に応えるよう努めています。
公共放送NHKは、“いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える”ことを基本的な役割として担っています。そして、その運営財源が受信料です。
NHKが、特定の勢力、団体の意向に左右されない公正で質の高い番組や、視聴率競争にとらわれずに社会的に不可欠な教育・福祉番組をお届けできるのも、テレビをお備えのすべての方に公平に負担していただく受信料によって財政面での自主性が保障されているからです。