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こんな天地人が見たかった!5
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0204日曜8時の名無しさん
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2016/06/17(金) 22:58:17.56ID:+sHW8kgT
「そんな感じで毎回やってます」

「そんな感じでやらないでと言いたいですな」
「史実は曲げられないって、どの口がいうておるんでしょう」

「黒田官兵衛殿の功績を横取りしたことを言い訳しておるようじゃが
家康公のために、幸村殿が小田原に潜入するなど、無理に無理を重ねた話
じゃね。一番最初に、幸村殿を小田原攻めで活躍させたい思い付きがあって
そのお墨付きを、その道ではトップクラスの考証の先生にお願いしておるなど
話が逆じゃろううて」
「動かしがたい歴史的な事実がある、その原因結果を理解するために小説的な
アプローチをするというのであればわかるけど、自分の思い付きを正当化して
おるだけではないか。無理筋すぎる。だから、くだらねえとわかりましたね」
「徒労感しかない。すべて、大げさな話にしてるけど、全部無駄だから」
「才能ないんじゃないかな、もともと。パクリみたいなデビュー作だったし」
0205日曜8時の名無しさん
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2016/06/19(日) 22:58:39.34ID:SWx8IjMa
第四四話「天下一統」(35)

「関白殿下は七月二六日に、下野・宇都宮に到着されたとのことでありまする」

「ところで。お船殿は、どこまでついてこられるのでしょうか」
「何を申す。戦の勝ち負けより、論功行賞のほうがよほど大事じゃ。
上杉の諜報部隊も大車輪で動いておる。
わらわがおらねば、話にならんではないか」
確かに、本庄の活躍で、庄内を最上から奪回したが、最上は納得してはおるまい。
最上のやつ、徳川殿に接近しておるようじゃ。
おおかた、徳川を後ろ盾にして、庄内を取り返そうと考えておるのじゃろう。
油断はできぬな。

「関白殿下は意気軒高たるものがあり、意に沿わぬものに対する御腹立ちも
すさまじいものがあるようじゃな」
「なにか、あったのでございまするか」

「関白殿下は、帰参を願ったものを切り捨てたそうじゃ」
なんと。
「尾藤知宣とか申すものが那須で斬られたそうじゃ」
なんと。なんと。
「確か、九州攻めの際、秀長公の軍勢の軍監じゃったお方ですな。何故に」

 
0206日曜8時の名無しさん
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2016/06/20(月) 23:27:46.08ID:kwcg6M4L
第四四話「天下一統」(36)

「たしか、根白坂の戦の際の、作戦指導をとがめられて、追放されたとか
各地を放浪しておったとか。関白殿下の御前に剃髪して、御寛恕を乞うた
そうじゃが、関白殿下はお許しにならなかったそうじゃ」
「ほお。何故に。仙石殿は許されておるのに、
戸次川の戦の敗北の張本人が許されておるのをみれば、自分も許されると
思われたのでしょうが」
「関白殿下は、中国の皇帝並みの権力者じゃ、ゆめゆめ、御心に沿わぬ言動を
してがならぬ、命取りになる」
「軍監として派遣されるということは、関白殿下の信頼のあつい側近じゃったわけ
じゃろうに」
0207日曜8時の名無しさん
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2016/06/21(火) 23:04:12.87ID:mgc4jn08
第四四話「天下一統」(37)


「関白殿下より庄内三郡正式に安堵されました」
「われらは、このまま庄内に入り、検地をする。大谷殿が同行される」

大谷殿は、石田の親友じゃ。越前・敦賀の領主でもある。
領地は少なくとも、北の海の探題的存在じゃ。黒田官兵衛殿が九州の探題的
存在であるのと同じじゃ。一旦、ことが起これば、船で大谷殿のところに連絡が
入るという寸法じゃな。入魂願わねばならぬなあ。よい機会じゃ。

八月上旬、庄内に入る上杉軍。検地を開始する。
0208日曜8時の名無しさん
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2016/06/22(水) 23:00:25.91ID:qxDYpH7v
第四四話「天下一統」(38)

「さあさあ、こちらへ」
本庄、惣無事令違反にも関わらず庄内の領有が認められたことがうれしくて
仕方がない様子。
庄内に入った上杉軍を歓待するため祝宴の用意をしていたのだ。
0209日曜8時の名無しさん
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2016/06/29(水) 23:05:55.20ID:eTxIzkNr
第四四話「天下一統」(39)

「尾浦城は、なかなかよいお城じゃな、
本庄、大谷刑部殿は、関白殿下の懐刀ともいうべきお人じゃ。
敦賀の領主でもある。北の海の沿岸で、変事が出来すれば、即座に大谷殿のと
ころに連絡が入り、大谷殿が関白殿下に報告するということになっておる。
われらにとって、大切なお方じゃ」
本庄を諭しているようで、居並ぶ諸将に聞かせている直江兼続、
相変わらず隙の無い男である。

「本庄、十五里ケ原の戦のことを聞かせてくれぬか」
よせばいいのに、上杉景勝、いつものように軍談をせがむ。

「もともと庄内は大宝寺の所領で、代々われらとも好を通じておったのでござる
が、山形の性悪狐が野心を逞しくし、大宝寺の家臣を使嗾して主家を裏切らせ、
庄内を強奪したのでござる。それがしと大宝寺は特に親しく、それがしの次男は
大宝寺に養子に入っておった。この世に悪のはびこることを座視できず、それがしは
正義の軍を挙げたのでございまする」
相変わらず、押しの強いことをいう本庄。
これぐらいがちょうどいいのかもしれぬなあ。
0210日曜8時の名無しさん
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2016/07/03(日) 22:58:38.13ID:JYPwi/21
第四四話「天下一統」(40)

「関白殿下のお許しを頂き、下越の諸将の増援も到着したので、主力が伊達殿
との戦にくぎ付けになっておる最上との戦は簡単なものでございましたな」
得意満面な本庄、自慢話を謙遜しながら進める。

「兵力にまさるわが軍は、兵力を分散して、十五里ケ原の戦で、包囲殲滅戦を
企図いたしました。あしは主力を率いて、敵軍の背後に回り、四方から一斉に
攻撃いたしました。奥羽の僻地で戦のまねごとをしておった田舎侍に、百戦錬
磨のわれらが負けるはずもなく、敵軍を徹底的に殲滅いたしました。
獲った首は二千五百余でございまする」
これほどの大戦果、聞いたこともない。最上軍は逃げ場がなかったのじゃな。

「本庄殿、勇名は、かねてより聞き及んでございまする。
それがしにもご指南くださいませ」
さすが、関白殿下の側近だけあって如才のない応答をする大谷吉継。
面目を施し、さらに喜色満面の本庄。

しかし、戦わざるを上策とすれば、敵軍を殲滅する作戦は、下策じゃ。
なにより、恨みをかう。こたびの大勝利、庄内の地侍のなかには
さぞかし恨んでおるものも多いじゃろうて。
戦の世が終わることは、ありがたいことじゃが、報復ができなくなった
相手には恨みが残る。
いろいろ、細心の注意が必要じゃ。

直江兼続、八王子攻めと同じ感想をもつ。
やはり、この男、ただ者でないことは確かである。
0211名無しさん@そうだ選挙に行こう! Go to vote!
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2016/07/10(日) 19:42:26.14ID:0p/2H/q5
第四四話「天下一統」(41)

「そなた、本庄の話、どう思われたか」
「本庄は、上杉第一の名将なれど、政略的なことには頭を回さない男でございまするな」
直江夫妻の寝所では、今日も政治談議が行われている
0212日曜8時の名無しさん
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2016/07/10(日) 21:58:12.05ID:0p/2H/q5
第四四話「天下一統」(42)

「庄内の地侍が多数最上領に逃げ込んでおるようじゃ
本庄の奴、大弾圧しておるようなのじゃ」
「大宝寺の跡取りに据えたわが子のために、邪魔者を排除しておるわけでございまするか」
「親心なんじゃろうが、少しやりすぎじゃ。
手綱を締めねばならぬやもしれぬな」
「確かに、この情勢で検地を強行すれば、一揆が起こるのは火を見るより
明らかでございまするな。討伐戦の用意をせぬばなりますまい」
「そうなのじゃ。普通にやっても難しいぞ。検地は。近江で一村逃散した村
をみたぞ」

「関白殿下は、山の奥、海は櫓櫂の続き候迄 検地を実施せよというご命令で
ございまする」
「うむ。一反を三百歩にすれば大変な増税に映るじゃろうな。
天下一統のためには、避けては通れぬ道じゃが、大変じゃな
征明の戦どころではないと思うが」
「それゆえ、征明の戦をするのでしょう」
「征明の戦のための天下一統。天下一統のための征明の戦。
どちらの政策も補い合って、関白殿下の政権を強化しておるのでございましょう」
0213日曜8時の名無しさん
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2016/07/16(土) 22:38:08.92ID:t86R/uWB
第四四話「天下一統」(43)

「唐入りは日本一統の目的であると同時に日本一統を深化させるための手段でも
あるわけでございまするか」
「ご明察」
珍しく兼続をほめるお船。いかなる魂胆があるのか
0214日曜8時の名無しさん
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2016/07/17(日) 21:01:34.47ID:sWqSjOwD
<真田丸批判>

「もう本当に勘弁してほしいのう」
「くだらなさに頭がおかしくなりそうじゃ。
利休様に続いて秀次公まで、毒牙にかけられてしまいましたな」
「史上最低の利休様じゃったな。
芸術は永遠で、今なお信奉者が多いのに世間が怖くないのじゃろうか」
「中の人、なかなかいい味出してたのに。最後変でしたね」
「唐突すぎるのじゃ。おそらく、取ってだしの脚本になっておるんじゃないかな」
「前後の整合性が全くとれてないからのう」

「自分の知ってる「史実」と違う!と憤る方もいらっしゃるかと思いますが、
こういう説もあるということを(そして脚本家はこれが「史実」に一番近い
と思っていることを)知って頂けたら、嬉しいです とか申されておるが」
「言い訳しながら、大河やるなよ と言いたいですね まず」
「どんな説を採用してもいいのじゃ。面白ければいいのじゃ。
それを説得力のある脚本・演出で見せてくれたら、感心納得するが
雑すぎるじゃろ。何もかもが。」

「なにより気に入らぬのが、みなみな小物に描くことじゃ」
「真田丸というより小物丸じゃ」

「史実史実と申されるが、史実ってなにか、わかってないみたいじゃね」
「筆者は史学科の博士後期課程まで行っておるが、歴史研究、基本は何言っても
自由でございまする。ただし根拠を示してね。ということになる
歴史学の論争は、説ではなく資料・史料の読み方の戦いになるのじゃ
イエズス会の世界征服の手伝いをしていたとかいう説も、資料の読み方間違ってるとか
そういう批判になるのじゃ」
「大先生は、テクストクリテークとか、まったく分かってないから、考証の先生も
くだらない思い付きにお墨付きを与える前に、そのことを教えてあげるべきじゃな」

「ていうか、天下国家を描く気がないから、勉強もしていないようだから、登場人物の
言動がすべて軽いのじゃ、一国一家の命運を担った戦いをしておるはずなのに
本当に、適性がないというか、才能がない言うしかない。かわいそうじゃが」
0215日曜8時の名無しさん
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2016/07/17(日) 22:15:52.63ID:sWqSjOwD
第四四話「天下一統」(44)

「奥羽仕置きは、豊臣政権の権力を見せつけたものとなっておる
大崎・葛西・石川・白河などは、小田原に参陣しなかったことを責められて
領土を没収されている。そして、大崎・葛西の故地に木村吉清・清久殿を封じ
伊達殿から収公した会津に蒲生殿を封じておられる」

「木村殿は大出世でございまするね。われらも上洛のおりお世話になっておる
から、嬉しい限りでございまする」
「肥後に封ぜられた加藤清正殿・小西行長殿を超えるくらいの大抜擢でございまするな」
「しかし、家来が少なすぎるのではないじゃろうか。無理が出そうじゃ」
「伊達も会津をとられ、背後に葛西に大大名を配置されたら、気分はよくないじゃろうな」
「改易された領主は、伊達の与党じゃ。伊達殿は、内心含むところがあるじゃろうな」
0217日曜8時の名無しさん
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2016/07/24(日) 23:05:42.54ID:8nSNmPaC
第四四話「天下一統」(45)

「六尺三寸を一間、一間四方を一歩、三百歩を一反といたしまする」
0218日曜8時の名無しさん
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2016/07/26(火) 22:19:55.72ID:K6aE7XLM
第四四話「天下一統」(46)

「関白殿下は、検地に従わないものがあらば、一村でも二村でも、なで斬りにせよ
と仰せでございまする」
検地を見学する直江夫妻に、大谷刑部が親切に教えてくれる
「三百六十歩で一反だったものを三百歩で一反にすれば、大変な増税になるのでは
ございませぬか」
「関白殿下は、二公一民にせよと仰せでございまする」
さらに追い打ちをかけるような大谷の言葉。
五公五民でも、重税じゃと一揆が起きるのに。
「検地の目的は、石高を調査するだけではなく、耕作者を確定し、その者に
課税するためでありまする」
そうすれば、中間搾取者は排除され、農民から領主に直接に年貢が収められる
ようにできるわけか
しかし、地侍の反感は相当なもんじゃろうな
0219日曜8時の名無しさん
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2016/07/30(土) 23:27:19.17ID:Phl2hHS6
第四四話「天下一統」(47)

「これが検地帳でございまする、一地一作の原則が貫徹されていて、実際に土地を
耕作するものを名請人として記帳いたしまする。」
大谷刑部は、どこまでも親切な男で、何から何まで教えてくれるようだ
「これにより、荘園や寺領のような重層的な権利関係は完全に消滅いたしまする
百姓は、決められた年貢を収めれば、それで安穏に暮らせるわけでございまする」
大変な善政を布いておるかの如く思って居る大谷である。
0220日曜8時の名無しさん
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2016/07/31(日) 19:25:35.86ID:vupdDBtR
第四四話「天下一統」(48)

「しかし、遠巻きにみておる百姓どもの様子、まなじり決して、今にも武装蜂起
しかねぬ勢いでござりまするな」
「人は、環境が変わることに対する恐れはありまする。
日にちが薬でございまする。時間がたてば、愚民どもも、関白殿下の政策の
正しさを知り、仰ぎ見るようになるでしょう」
大谷殿は、石田に比べても、好人物なのじゃろう。
しかし、権謀術数とか、好まないんじゃろうな
物の見方が、真っ正直で、かつ楽天的じゃ

「占領軍の威光が無くなれば、一揆がおきるのではございませぬか」
「九州でも、大規模な一揆が起きましたな、
まあ、なるようになるのではございませぬか」
大谷殿は、好人物じゃが、あまりものを考えないお人なんじゃろうか
腹黒い悪だくみとか、考えないんじゃろうね。
0221日曜8時の名無しさん
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2016/07/31(日) 21:36:17.20ID:vupdDBtR
第四四話「天下一統」(49)

「関白殿下は、黒川に入り、三日滞在したのち、帰国されました。
そして、帰途、征明の準備をするようご命令を出されておりまする」
黒田殿も、仰せになっておられたが、本気なんじゃろうか、
「しかし、東国の大名は、大規模な国替えが始まったばかり、出陣と言われても
難しいのでは」お船が、もっともな質問をする。

「おそらく、遠征軍は当初、西国中心の大名を中心に編成されるのでは。
東国勢の出陣は、その後かと」

しかし、本当なのじゃろうか。本気なのじゃろうか、
天地開闢以来の英雄であることは間違いないけど、大陸進攻など誰も考え
たことのないことじゃ。
0222日曜8時の名無しさん
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2016/08/03(水) 22:36:09.24ID:2CxXr1XE
第四四話「天下一統」(50)

「一度、軍を返したほうがよいかもしれませぬな」
「何故じゃ。不穏な情勢じゃという報告は、方々からきておるのじゃが」
「さればこそでございまする。出陣して数か月が経過しておりまする
田畑を恋しがっておる兵を一時戻して、討伐戦に備えたほうが良いと思われまする
今帰しておかないと、返せなくなるやもしれませぬ」
「成程。再出兵のために、一時兵を戻すのじゃな」
「御意」

兼続の献策を容れた上杉景勝、主力を率いて越後に帰還することになった。
残ったのは、本庄など下越の領主と兼続の手兵・与板衆だけとなった
「わらわも残りたいところじゃが、子供も心配じゃし、今後のことがあるので
帰還することにしたぞ。反乱が起これば、すぐに知らせるように」
お船も帰ってしまった
0223日曜8時の名無しさん
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2016/08/07(日) 23:10:26.11ID:wyenRO8D
第四四話「天下一統」(51)

「意外にスラスラ進んでいるようじゃな」
最上・由利・仙北まで検地は進んでいる。
「色部殿、それがしは、陸奥のほうへ行ってみる。浅野殿に呼ばれたのじゃ
あとは、よろしくお願いする」
兼続、出羽の検地を色部長真に任せることにする
0224日曜8時の名無しさん
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2016/08/15(月) 23:10:05.62ID:vV+0JqHQ
第四四話「天下一統」(52)

「おお。直江。出羽のほうは、うまくいっておるのか」
会津黒川城では、浅野長吉が蒲生氏郷と、情勢分析をしていた。
「忠三郎殿、こちらは上杉の家老、直江じゃ。
関白殿下もたいそう目をかけておられる当代きっての切れ者じゃ」
「おお、直江殿。わしは、東国は不案内じゃ。
いろいろ助けてもらわねばならぬ。入魂に願いまするぞ」

「そういえば、南化和尚よりお噂はかねがね聞き及んでございまする
知勇兼備の勇将であると」
「おお。そなたも、南化和尚のところで書籍を写して居ると聞いておるぞ。
なかなかの学問好きじゃと聞いておる」

「よかった。気が合いそうじゃな」
浅野長吉、屈託もなく喜んでいる。
浅野殿は、関白殿下の御身内。前田利家殿とは、兄弟のように仲が良いとか
豊臣政権の要のお方じゃ。
0225日曜8時の名無しさん
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2016/08/16(火) 22:54:00.15ID:pY3O9mFm
第四四話「天下一統」(53)

「出羽のものどもは、海で都とつながっておるせいか。目端が利いておる。
それに比べて、陸奥のものどもは伊達や北条が大きすぎて、上方が見えてなかっ
たようで、領主が多数改易されておる、その遺臣どもが不穏な情勢を作り出しておるのじゃ
浅野長吉、つぶやく

「どうじゃ。ゆっくり酒でも飲まぬか。いろいろ、相談したいのじゃ」
「こちらこそ。お願いしたいくらいでございまする」
0226日曜8時の名無しさん
垢版 |
2016/08/21(日) 22:06:58.04ID:bqJJY6Iu
第四四話「天下一統」(54)

「南部の家臣の九戸とかいうものが、不満を募らせておる由。
聞き及んでおりまする」
兼続が情報通のところを見せると

「これは避けては通れぬ道じゃな。
関白殿下の朱印状で南部の当主を領主と認めたわけじゃから、九戸にも従って
もらわねばならぬな」
「検地には、君臣を峻別することで。大名権力を強化する狙いもあるのじゃ」
「九戸は、南部の当主を豪族連合の盟主くらいにしか思ってこなかったのじゃ
ろうが、そうはいかぬのじゃ」
「すべて、征明の戦のためでございまするか」
兼続が質問する

「関白殿下は、本気で明を平らげようとしておるのじゃ」
「ご自身の計略で、小田原を落とし、北条を滅ぼし、天下を統一したのじゃから、
関白殿下は意気軒高、頼朝公は天下友達とか、いわれたそうじゃ」
なんと。
「おお。そういえば、信玄も謙信も早く死んでおってよかった。
生きておれば、わしの家来になっておったわ。とか。申されたとか」
ほほお。
0227日曜8時の名無しさん
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2016/08/28(日) 22:17:24.87ID:HKpeoDhj
第四四話「天下一統」(55)

「なにやら、面白げなお話でございまするな」
「小田原から進発する前に、関白殿下は鎌倉見物に赴かれ、鶴岡八幡宮で頼朝公
の座像をご覧になり、御辺と秀吉は、微賤より天下を一統に切り従えたという点
で天下友達と仰せになられたのじゃ」
浅野長吉は、まるで見てきたように言う
「関白殿下は、しかし天皇家にも近い家柄で、代々国司を務め、東国に大きな
地盤を持っておられた御辺より、氏素性もない匹夫より出でた、それがしのほ
うが創業の功まされりとゆうべきじゃな。しかし、いずれにしても。それがしと
御辺は天下友達じゃと仰せになられたそうじゃ」

「確かに、関白殿下は天地開闢以来の英雄でございまするな」
「ご自分でも、ご自分の成し遂げられた業績の巨大さを誇らしく思われておるのじゃろう」
兼続と浅野長吉が、秀吉の成し遂げた業績に感嘆していると
「確かに、関白殿下の業績は巨大なものじゃが、仕えた主人が信長公でなければ、一生気の
利いた草履取りで終わったかもしれぬぞ」
蒲生氏郷は信長公の次女の婿殿じゃからな。ちなみに長女は徳川信康殿じゃが。
「信長公の天才が関白殿下の才能を見出して、毛利攻めの総司令官にまで、取り立て
られたのじゃ」
たしかに。
「関白殿下は、これまで、信長公の天下布武を実現するために、粉骨砕身してこられた
わけじゃが、信長公を超えた今、ご自分のやるべきことを見失ておられるので
はないかな」
蒲生氏郷、暗に征明の戦のことをあてこすったようなことをいう、
0228日曜8時の名無しさん
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2016/08/29(月) 22:47:55.47ID:qB1T1651
第四四話「天下一統」(56)

「まあ、一献」
「そなたにはわからんじゃろうな。関白殿下の御努力が。
もともと、近江・六角の重臣の息子で、信長公に服属したら、
目をかけられて、すぐさま娘をもらえる蒲生殿には、わからぬわ」
浅野長吉が話を脱線させる
「万事厳しい信長公に認めてもらうために、関白殿下がどれだけ努力されたか
断崖絶壁に爪をかけて登るような努力をされてきたのじゃ」
0229日曜8時の名無しさん
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2016/08/30(火) 22:15:13.33ID:XCSX0wlu
第四四話「天下一統」(57)

「信長公は、突然、夜中に馬に乗って駆け出すような気ままなお方じゃったが、
関白殿下は、どんな時でも、完璧な用意をされておった。おそらく、ほとんど
寝てなかったのだと思うぞ、全身全霊で、信長公にお仕えしておったのじゃ」
ふうむ。
「関白殿下も、自分ほど忠勤を尽くしたものは家中にはおらぬと仰せじゃったわ」
「勤勉なお方であることは、わしも同感じゃ。しかし、天下一統を実現したいまは
民力を休養させて、国づくりに専念するべきじゃ。誰一人、望まぬ外征など、
するべきでない」
蒲生氏郷、はっきりものをいう。

やはり、蒲生殿にとって、主君は信長公なのじゃろうな。

「関白殿下は、独楽のようなお方じゃ。動いてないと転んでしまうとお考えじゃ」
浅野長吉も反対の考えのようだ
「ご自身の性質もあるのじゃろうが、苦労しすぎて、猜疑心が強すぎるのじゃ
もそっと、われらのことを信頼してくださらなければ困る」
蒲生氏郷、よほど外征が気に入らない様子。
0230日曜8時の名無しさん
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2016/09/01(木) 23:04:14.78ID:x+quTaOP
第四四話「天下一統」(58)

「直江殿も、そうは思わぬか」

危ない、危ない。浅野殿は関白殿下の御身内、蒲生氏郷殿は関白殿下の腹心
それがしは、外様の陪臣、同じことをいうても、同じようには、受けとられまい。

「関白殿下は、信玄公や謙信公についても、お話をされたとか」
うまく。話を変える直江兼続

「おお。太田三楽殿をご存知か。あの、お年寄りに関白殿下が、信玄公や謙信公の
お話を聞いて、そんな小刀利きの埒のあかない戦をしておったのかと仰せになられ
死んでおってよかった、生きておれば、謙信も信玄も、わしの家来になっておった
わ、と、言われたそうじゃ」
浅野長吉が教えてくれる
「川中島の戦いは前半は上杉の勝ち、後半は武田の勝ちと仰せになられたそうじゃ」
蒲生氏郷も教えてくれる

信玄公や謙信公が、誰かの家臣になるとは、想像もつかないことじゃが
0231日曜8時の名無しさん
垢版 |
2016/09/05(月) 23:02:00.27ID:reLy8xVP
第四四話「天下一統」(59)

「確かに。謙信公は、戦を神聖なもの、神事のようにお考えでございましたな
それゆえ、事前の調略には、あまり熱心ではございませんでしたな」
「出たとこ勝負ということかな」
「関白殿下の戦は、謙信公と正反対でございまするな。
戦が発動された時点で勝利が確定しておる。そのための、綿密な準備がなされ
圧倒的な兵力で、ねじふせる。まったく、お見事でございまするな」

「ところが、征明の戦は、あまりにも準備不足ではございませぬか」
0232日曜8時の名無しさん
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2016/09/11(日) 22:56:08.29ID:+PI8+C73
第四四話「天下一統」(60)

「わしもそう思う。小田原攻めは、完璧な準備がなされておった。
完全な兵要地誌があり、兵糧も潤沢に準備されておった。
ところが征明の戦は、何もわからぬままじゃ、
言葉も通じぬ相手にどのような戦になるのか、見当もつかぬのう」
蒲生氏郷、やはり反対する

「関白殿下は、泰山で鶏卵をつぶすようなものじゃ
唐の長袖どもは、鎧袖一触じゃと申されておる
弓矢厳しき日本に比べて、文官が支配する惰弱な国であるとみておられる」
浅野長吉も批判的に言う

「明の都を落としたとしても、明の皇帝は地方に逃げて徹底抗戦するのではありませぬか。
長恨歌では、唐の皇帝がそうしておりまするが」
直江兼続、安禄山の乱を引いて心配する。

「直江の言う通りじゃろう。島津も北条も、関白殿下と天下を争う考えはなく
関白殿下の政権の分国として保証してもらうために戦をしておったのじゃから
最初から、和睦ありきの相手じゃった。
しかし明の朝廷の考えが全く読めない。徹底抗戦されれば、永遠の戦となるやもしれぬ」

「どう考えても、博多の商人どもの入れ知恵なんじゃろうが
さすれば、勘合貿易の復活とかが、落としどころになるのじゃないかな」

蒲生氏郷は、関白殿下の腹心と言われておるが、石田とは違う。自分の考えがあるようじゃ
「宣教師様のお話を聞いて、世界征服も簡単と思われたのやもしれぬ
しかし、切支丹の宣教は征服ではない。関白殿下は勘違いされておる」

蒲生氏郷は、利休七哲の一人に数えられる高弟じゃ。
堺衆の代表である利休様も、博多が使嗾する征明の戦に反対なのやもしれぬ

商人の争いも、背景にあるのやもしれぬなあ
0233日曜8時の名無しさん
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2016/09/13(火) 22:49:20.60ID:qyBzN+px
第四四話「天下一統」(61)

「おお。そういえば、直江殿。これをご覧あれ」
蒲生氏郷が、漆塗りの箱から絵図面を出して見せてくれる

「黒川に造る新しい城と城下町の計画書じゃ。黒川の名前も若松と変えるつもりじゃ」
大層な城じゃのう
「七層の天守閣を築くつもりじゃ。それにしても、伊達は、全く手を入れずじまいじゃった
ようじゃな」
「伊達殿は、天下に望みがある人じゃから、小成に甘んずる気がなかったのじゃろうて」
浅野長吉、なかなか穿ったことを言う

「新しい城造り、新しい都市造り、胸弾むような楽し気なお仕事でございまするな」
「そうじゃ。なにもかも思うがままじゃ。わしは、何百年先も栄える都市を造るつもりじゃ」
関白殿下も城を造るが、民の負担は考えないのじゃろうか。
勝頼公は、新府城築城のため重税を課して、滅亡の原因をつくったのじゃが
0234日曜8時の名無しさん
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2016/09/16(金) 22:51:32.81ID:14NLKZP7
第四四話「天下一統」(62)

「楽市楽座で商人をかき集めて、奥羽第一の大都市にするつもりじゃ。
伊勢・松坂よりも商人を呼び寄せるつもりなのじゃ」

「上方の武将は皆さま、城造りの名手でございまするなあ」
兼続がつぶやく
「これは信長公じこみじゃ。みな信長公の模倣なのじゃ」
蒲生氏郷、隙があれば、信長公の話をしたがる
0235日曜8時の名無しさん
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2016/09/21(水) 23:11:18.12ID:4M/j3SlZ
第四四話「天下一統」(63)

「まったく信長公は、乱世を終息させるために天が遣わしたお方じゃったな」
蒲生氏郷、酔ったのか、独白する
「信長公は、民の望むことをよくご存じじゃった。
商業を盛んにするため。街道の整備に尽力されたのじゃ」
ふうむ。
「信長公は、道を三種類に分けた。一番大きな道は本街道で、三間二尺幅じゃ」
相当広いのう
0236日曜8時の名無しさん
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2016/09/26(月) 23:06:46.44ID:/lOVBTcQ
第四四話「天下一統」(64)

「信長公は
本街道 三間二尺(約6,5メートル)
脇街道 二間二尺(約4,5メートル)
在所道 一間  (約2メートル)
と、道路の規格をお決めになり、整備に力を尽くされた。」
ほおお。
「信長公は、商業が富を生むこと、商業のためには交通網が必要であることを
生得に理解されておられたな」
ふうむ。
「そういえば、織田の旗印は永楽銭でござったな。
信長公は銭の力で天下を取ろうとされておったのじゃろうか」
「銭のもつ不思議な力に。あやかりたいとおもわれたのではないかのう」
確かに、毘沙門天とか孫子とではなく、明銭を旗印にするのは、変わっておるのう
しかし、征明の戦で、織田勢の旗印を見れば、明の軍勢は戸惑うじゃろうな
永楽帝に弓引くことになるからのう、やや、それはないか。
織田信雄様は、改易されたからのう
0237日曜8時の名無しさん
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2016/10/02(日) 22:59:54.82ID:pN/ITDpY
第四四話「天下一統」(65)

「もともと信長公の家は、尾張下四郡の守護代の三家老のひとつにすぎなかったのに
津島湊を金蔵にして勢力を伸ばしてこられたのじゃ。
木曽川の河口に位置し、伊勢の海運の中心であった津島湊を金蔵にした信長公の御父
上様・信秀公は、皇居の築地修復のため、四千貫文を献上しておる、それくらい富強
じゃったのじゃ」
蒲生氏郷、織田の譜代の家臣のように詳しく話す
「富強で言えば、上杉も負けてはおるまい。直江津や柏崎湊から、都へ運ばれる越後
上布や青そにかけた関税が年間四万貫と聞いておる」
浅野長吉、意外と博識のところを見せる
まったく、なんでも知っておるのう
「四万貫!関東や北陸への連年の出征ができたのは、そのせいか」
蒲生氏郷も感心したような声を出す
0238日曜8時の名無しさん
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2016/10/05(水) 22:51:11.79ID:8QwJezql
第四四話「天下一統」(65)

「謙信公は、数万両の遺産を残された。それをいち早く確保して、上手に遣って
内戦に勝利されたのが、ここにおられる直江山城守様じゃ」
浅野長吉、酔ったのか、ふざけている
しかし、何から何まで、よく知っておるのう。

「ところで、織田信雄様は、どうなるのでござましょう」
これ以上、昔話をされても、藪蛇なだけと思った兼続、話題を転換する
0239日曜8時の名無しさん
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2016/10/10(月) 23:05:35.57ID:jzU1iKMj
第四四話「天下一統」(67)

「上杉家の内戦は、景勝公と北条から養子に入った景虎殿の争いになったのじゃが
北条の同盟国であった武田の大軍が、越後に攻め込んできた。その時、景勝公は、
武田に金子を贈って、味方にしたのじゃ。そうじゃろ、直江」
浅野長吉、なれなれしい。兼続、にこにこ笑うも取り合わない。

「信雄様は、佐竹殿の預かりであったが、この後、出羽に流されると聞いたが」
「能を踊れば、天下一のお人なのじゃがのう。兵事はからきしじゃな。信長公の
御子息としては不出来なお人じゃな」
「信長公に勘当されそうになったこともあったなあ」
「独断で伊賀を攻めて、大敗したときのことじゃろう」
浅野長吉と蒲生氏郷、二人で盛り上がっている
不覚人なのじゃろうか
0240日曜8時の名無しさん
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2016/10/12(水) 22:57:21.62ID:mCDN1Y6D
第四四話「」天下一統」(68)

「織田信雄様がおられなければ賤ケ岳の戦でも、関白殿下は名分が立たなかった
のではございませぬか。いわば。関白殿下の覇業に協力されたお人なのに…」
「協力したのではない。利用されただけじゃ」
浅野弾正長吉、さらに辛辣になる
「信雄様は、もう少し、気をつかうべきじゃったな。
徳川殿を見習うべきじゃ。徳川殿は、領内の城をすべて提供し、無理やり小田原
攻めを強行するくらいに、気を遣っておられるのに」
蒲生氏郷も、口調が冷たい
0241日曜8時の名無しさん
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2016/10/13(木) 23:16:14.49ID:WD7VyM4l
第四四話「天下一統」(69)

「関白殿下は、天下一統を完遂したことで、お心に変化が生まれたのではありませぬか
以前の関白殿下とは違うようにお見受けいたしまするが」
兼続、言葉を選びながら探りをいれる
「信長公に似てきたのう」
「信長公に似てきたというか、絶対権力者は孤独で不安なものじゃ」
0242日曜8時の名無しさん
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2016/10/14(金) 23:30:07.15ID:sZWzn1Gw
第四四話「天下一統」(70)

「山上宗二も、小田原で斬られておる。耳鼻削がれて斬首されてしもうた」
蒲生氏郷、憤懣やるかたない口調で愚痴る
「宗二は、茶道には妥協のない男で、関白殿下にも直言するもので何度も追放さ
れたのじゃが、今度はきられてしもうた」
「利休様も命乞いされたのじゃが、関白殿下は、おゆるしにはならなかった」
「秀長さまが、参陣されておられれば、関白殿下を説き伏せて、助けてくれたかも
しれなかったがのう」
浅野弾正長吉も愚痴る

大きな器量で天下を一統された関白殿下じゃが、その自尊心は肥大化し、些細な
反抗も許せなくなっておるのかもしれぬな。
石田のような忠義一途な者たちに囲まれておれば、それが普通と思われるのやも
しれぬ。

やはり、征明の戦に対する反対・反発が大きいことに、お気づきで、機先を制し
て、弾圧して、みなを従わせようとしておるのじゃろうか。
信雄様を改易して流罪に処したのも、一罰百戒を狙ったものじゃろうか
0243日曜8時の名無しさん
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2016/10/19(水) 22:33:09.51ID:2GB8xy71
第四四話「天下一統」(71)

「大谷刑部殿より急使でございまする。仙北で一揆発生いたしました」
やはりなあ。
「通せ」
蒲生氏郷、浅野長吉と顔を見合わせうなづく

「大谷殿配下が検地をおこなっておると、付近の農民が妨害したので、見せしめ
のために数人を斬首したら、逆襲されて、大谷勢、五十人ばかり惨殺されたよう
でございまする」
大谷家の使者が報告する
0244日曜8時の名無しさん
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2016/10/23(日) 20:03:59.43ID:xF8zaBjg
第四四話「天下一統」(72)

「景勝公、旗本を率い春日山を進発、現地に急行しておるとのこと」
おお。
「それがしも、出羽に戻りまする」
兼続が、慌てて辞去しようとすると
「わしは、都に戻るつもりじゃ」
なぜに!浅野長吉が不思議なことを言う。
「あまり大事にしたくないのじゃ。一揆が勃発したからこそ、予定通り行動するのじゃ」
ほお、動揺するところを見せないつもりかあ。
0245日曜8時の名無しさん
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2016/10/25(火) 23:29:51.01ID:c/sYAcNB
第四四話「天下一統」(73)

「どうも、前後左右から一揆勢が接近しておるようでございまする」
景勝の率いる上杉本隊と合流した兼続だが、一揆勢との乱戦に巻き込まれている
「本庄にやられたことを、そっくり返すつもりなのじゃろうか」
景勝、氷のように冷静だ。
「そうかもしれませぬなあ。最上の配下が混ざっておるやもしれませぬ」

しかし、謙信公とともに何十年も戦い続けた百戦錬磨の上杉に対して、
包囲殲滅戦を企図するとは、笑止千万じゃな。

「敵の総数は約二万でございまする」
伝令の声が裏返っている
「これだけの作戦を遂行するとなれば、烏合の衆というわけでもないようじゃな
敵の本陣を探せ」
戦場諜報をとるため、すべての細作が投入された
0246日曜8時の名無しさん
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2016/10/26(水) 23:38:16.84ID:r+NtZ57R
第四四話「天下一統」(74)

一揆の総大将を捕捉して首を取れば、この大軍も四散するじゃろ
無益な殺生は避けるべきじゃ。
0247日曜8時の名無しさん
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2016/10/29(土) 23:59:21.73ID:GGvpLrTb
第四四話「天下一統」(75)

「ご家老は、敵を甘く見すぎておる。謙信公が一番苦戦したのは、武田ではない。
もちろん北条であるはずもない。北陸の一向一揆じゃ。謙信公は、神仏に願文を
捧げて平定を祈念したことさえあった。」
「しかし、一揆というても、一向門徒のような宗教心もないし、雑賀の鉄砲隊もおらぬぞ
そなたの鉄砲隊で、防ぎ留めながら、敵の司令部を強襲して、敵将の首を挙げる
作戦が一番じゃと思うが」
兼続の作戦に対して上杉の鉄砲隊指揮官・水原親憲が意見具申をする。
「鉄砲も、ほとんどないようじゃし、どうみても調練を受けておらぬようじゃが
それがしは、無辜を殺傷したくないとおもうのじゃが」
「それが、甘いのでござる。敵は、必死でござる。検地で土地を取り上げられた
地侍にとって、こたびの戦いは、絶対勝たねばならぬ戦でございまする
鉄砲隊が防ぎとめることができるとは、思えませぬ」

「そういえば、信長公が長島の一揆を鉄砲隊で殲滅しようとして、逆襲され、庶兄・信広
殿を筆頭に、歴々の旗本数百人が討ち死にしたことがあったのう」
景勝が、軍談研究の成果を披露する
「時間がない。では、どうすればいいのじゃ」
「作戦構想は、このままでよいとしても、われらも死力を尽くさねば、勝てませぬ。
勝てぬというか、生き延びることさえ、難しゅうございまする」
本陣を囮にして、敵将を釣りだそうと考えたのじゃが、いささか巧緻にすぎたか。

「敵将・鍋倉四郎、益田城を出た模様、数千の兵を率いて、こちらに向かっておりまする」
名もなき土民相手の死闘が始まるのか。

「みな、わしの節度に従え。ゆくぞ」
景勝が、本陣勢を率いて、正面から激突する。
兼続も与板衆を率いて、本陣の背後を固める。
「背後からも、敵軍が迫っておる。敵を一歩も通すな。
旗本衆が、敵将の首を取るまで、時間を稼ぐのじゃ」
なんか、川中島の戦に似てきたな。時間との戦いじゃ。
0248日曜8時の名無しさん
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2016/10/30(日) 00:31:24.10ID:zwUrLNeB
第四四話「天下一統」(76)

「撃て、撃て。皆殺しにしろ」
水原の鉄砲隊が、火ぶたを切る。
バタバタ、倒れる一揆勢。しかし、わき目もふらず、次から次へと突っ込んでくる
「一歩も退くな。弓隊、前へ。撃て」
雨のように降り注ぐ、上杉勢の矢。しかし、死体の山を踏み越えて、一揆勢は、
まったく怯まない。みな死兵じゃ
「ご家老、お下がりくだされ。敵兵が迫っておりまする」
「わしも戦う。みな、負けるな。一歩も退くな。」
兼続も、騎馬を率いて、一揆勢に正面攻撃することになった。
「最後の一兵まで戦え。ここを死に場所と心得ろ」
馬上で槍を振るう兼続。敵勢に突っ込んで、敵兵を馬蹄にかける
槍で、敵兵の頭をぶん殴る。顔を突き刺す。
「止まるなよ、動け。離れるな」
叫びながら、戦い続ける
すると、乗馬が突然膝を折る。前に、放り出される兼続。
兼続の乗馬は、前足を斬られたようだ。
「許せ」
愛馬に槍でとどめを刺して、刀を抜く兼続。
大兵の敵兵の手元に機敏に入り、横殴りに首を狙う。
ゴン。
手元が狂い、鎧にはじかれる。
とっさに脇差を抜いて、脇腹を突き刺す。
血潮が噴き出し、兼続の視界が真っ赤に染まる。
「ご家老をお護りせよ。ここを死に場所を心得よ」
0249日曜8時の名無しさん
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2016/10/30(日) 22:34:32.43ID:zwUrLNeB
第四四話「天下一統」(77)

「鍋倉四郎の首、岡田十左衛門重治が嫡子治左衛門重貞が討ち取ったり」
おお。
「反撃じゃ。追い散らせ」
生色を取り戻した上杉勢、一揆勢に猛然と襲い掛かる
「益田城、攻略いたしました」
次々と勝報が届く。

ところが一揆勢は、なかなか崩れない。
「御館様、ご苦労様でした」
本陣に戻る兼続
「そなたも奮戦したようじゃな。怪我はないか」
「返り血でございまする」

夕方になって、やっと戦は終わった
「われらが獲った首は一千五百を超えておりまする」
大激戦じゃったな
「われらの被害は、どうなっておる」
「概算で戦死者二百余・負傷者五百と思料いたしまする」
ふうむ。

「一揆勢のものども、死に急いでおるようでございましたなあ」
「これが天下一統に対する地侍どもの反発じゃろう。
居場所がないのじゃ」
居場所。居場所を造るために、征明の戦をするのじゃろうか
0250日曜8時の名無しさん
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2016/11/21(月) 23:02:29.28ID:IoxytGlq
第四四話「天下一統」(78)

「庄内でも一揆が勃発いたしました」
おおお。予想通り、自分の家にも火がついた兼続。
佐々の二の舞は避けねばならぬ。
領内を治めきれないと難癖つけられて、庄内を没収され、最上に返還される
ようなことがあると、目も当てられぬなあ。」
「春日山に伝令、増援部隊を編成し、すぐに進発させよと伝えよ」
お船殿が、うまくやってくれるじゃろうが。
0251日曜8時の名無しさん
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2016/11/27(日) 21:40:23.76ID:FlpdJjjj
第四四話「天下一統」(79)

「藤田信吉殿、一揆の首謀者・菅野大膳を討ち破りました」
ううむ。藤田信吉、いつものように使える男じゃな
「全軍、藤島に向かえ」
一揆が小規模なうちに、ひとつひとつ潰していかねばならぬ
一歩間違うと、奥羽全体に波及する一揆になるやもしれぬ
九州の一揆のようなことがあるやもしれぬ

「大崎・葛西で一揆勃発いたしました」
一揆の炎は陸奥に波及。小田原に参陣しなかったことを咎められ領地を没収
された大崎・葛西の遺臣が一揆を起こしたのだ。
「浅野殿より、ご使者」
「お通しせよ」

「徳川様、前田様などにも動員令が発令されました」
おお。総力戦となったようじゃな

「戦乱の中、自分の領地を守ってきた地侍も、関白殿下の天下一統政権のもと
では、百姓になるか、新たに任命された領主の下っ端の家来になるしかない。
世の中の変化の速度についていけないのじゃな」
上杉景勝、評論家的だが正しいことを言う


0252日曜8時の名無しさん
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2016/11/29(火) 22:47:40.58ID:sY6Sz217
第四四話「天下一統」(80)

「なんとも後味の悪い仕置きじゃな」
「はっ。残念でございまするが、ここで武威を示しておかねば、愚民どもの蜂起
は収まりますまい。ほかの道はございませぬ」

藤島で蜂起した一揆の首謀者・平賀某など十七名を磔にして火炙りにしたのだ

「大崎・葛西の一揆は、猖獗を極めており、奥羽全域に広がる情勢でございまする
庄内さらに越後に波及でもするようなことになれば、目も当てられませぬ」

九州の一揆の話、黒田官兵衛殿に伺った時は、聞き流していたが、実際直面すると
切実な問題じゃ。関白殿下の目もある。北辺の些事を、おおげさにされて、国替え
とか無理難題を吹っ掛けられたら大事になる。
一刻も早く、鎮圧せねばならぬのじゃ。
0253日曜8時の名無しさん
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2016/12/11(日) 19:49:25.88ID:Kx6qDTnF
<反省会>

「われらも反省すること、ありすぎるくらいじゃが、
真田丸オーラスでこれでいいのじゃろうか」
「この脚本には適いませんな」
「感性が合わないな。珍しくインスパイアされることが、ほとんどなかったのう
一年間、何やってるのか、さっぱり、わからぬまま終わるな」
「残念じゃが頭が悪い人。二度と見たくないという感想しかございませぬな」
「ハードディスクの容量が勿体ない戦国大河は初めてじゃったな」

「文句をつけだすときりがない。ただ、あまりにも、くだらないから、文句をつ
ける気にさえならぬのう。歴史リアルの先生も大変じゃったと、同情する。
それがしじゃったら、切れて途中でやめるな」
「命が惜しい武士が、大坂城に集うはずがない。実際、前田利政殿のように
参戦しなかったお方もおられる。関ケ原から十四年、市井で朽ち果てること
こそを恐れていたのではないか、父・昌幸殿のように
最後の死に花を咲かせることができて、満足じゃったと思うけどな」
「どうも、根本的に武士の行動様式を押さえてないから、本当にくだらない
話になる。御恩とか、忠義とか、武名とか、どう考えているのじゃろう」
「理解できてないと思いまする。頭が悪いから。
頭が悪い癖に、人と変わったことやらないと、自分らしくないと思っておられ
るんじゃろうけど、思い付きが全部くだらないコントじゃから、つける薬がな
いなあ」
「残念じゃ。今年の初め、すごく期待した、その気持ちを返してもらいたい
本当に、残念じゃったな」

「登場人物が多すぎるのか、人物造形が全くできておらぬから、その場限りの
苦し紛れの演出を一年間見せ続けられる苦痛は半端なかったのう」
「石田三成主役で、加藤清正とか、七本槍の面々と、大谷刑部とか、固定して
話を掘り下げたほうがよかったと思うなあ。あれだけ、豊臣家に焦点を当てる
のなら。真田も豊臣も中途半端じゃ」

「期待しすぎたのじゃろうか」
「真田太平記は、水曜ドラマとして製作された故、お金をかけれてない。
独眼竜政宗以前のドラマじゃから、古いところもある。
それを、大河らしい製作費で再現してくれるだけでよかったのに」
「権利関係の問題があるのかもしれないけど、原作のない話は、脚本家の
先生の能力を超えておる。もともと、無理じゃったな」
「残念じゃ。普通にやってくれれば、面白くなることは、真田太平記で立証
されておるのに」
「白い巨塔だって、名作の誉高い田宮版がありながら、現代風にアレンジして
歴史に残るドラマになったのに、結局、脚本家の先生の、個性というか、功名心が
すべてを台無しにしたな。もう、映画では、この人は使えないし、テレビドラマで
も無理だと思うな」
「史実とか、視聴率とか、エッセイで、いろいろ言い訳するのも、見苦しい」
「真田信繁に固執していたのも、一体何だったんでしょうね」
「幸村になってるし、最初から、幸村でよかったんや」
「徒労感、これに尽きるよ。なんか、人生の一部、無駄にしたような気がする」
0254日曜8時の名無しさん
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2016/12/11(日) 22:32:01.65ID:Kx6qDTnF
第四十五話「利休」(1)

「ご家老、わしはどうなるのじゃろう」
天正十八年十月下旬の下越・村上城。
本庄繁長の居城で、本庄と面談している直江兼続である

青菜に塩の本庄繁長、それもそのはず、庄内の一揆を使嗾したという嫌疑をかけ
られているのだ。
「わしが、庄内の一揆を使嗾するはずなど、絶対にない。これは讒言じゃ。
色部の奴が、わしを陥れようとしておるのじゃ」
確かに、出羽の検地を担当させていた色部長真の家臣が聞きこんできた話が
発端じゃが。どうも、おかしい。
「わしは、佐々成政のように、一揆の責任を負わされて、切腹させられるの
じゃろうか」
都に召喚されている本庄、不安でいっぱいの心境のようだ。
「そなたは、上杉の柱石。古志上杉の名跡を継ぐ一門格の重臣じゃ。
上杉の全力を挙げて、そなたは守る」
「ご家老、本当か」

「そなたの三男殿が、元服されたら、それがしの養子にもらい受けよう。
これは男と男の約束じゃ。
しかし、条件がある。
軽挙妄動は、絶対にしてはならぬ。
すべて、それがしの指示に従ってもらいたい」
「ご家老、そこまでお考え下されておるのならば、すべてお任せいたしまする」
「まずは、心配しすぎないことじゃ。御館様もそれがしも同行する。
大船に乗ったつもりで、ゆるりと構えておることじゃ」
0255日曜8時の名無しさん
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2016/12/18(日) 23:02:04.07ID:8dhKxDKW
第四十五話「利休」(2)

「そうか。本庄も、こたびは相当戸惑っておるようじゃな」
「本人は濡れ衣じゃと主張しておるまする。実際そうなんじゃとおもいまする」
春日山に戻ってきた兼続、早速お船に相談している。

「伊達と蒲生殿が、諍いを起こして居るようじゃ、
蒲生殿は、伊達が大崎・葛西の一揆を扇動しているとみておるようじゃ。
本庄は伊達と親しい。同じことしておるように、取られておるのではないか」
「成程。最上の陰謀かと思いましたが、伊達との関係を疑われておるせいなの
ですか」
流石、上杉の諜報部門を取り仕切るお船、読みは鋭い

「これは、都で解決すべき話じゃ。わらわも奥方様のお供をして上洛するぞ」
「すべては関白殿下の御心のうちで決せられることとなりましたな。
一刻も早く都に上るべきでございましょう」
0256日曜8時の名無しさん
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2016/12/25(日) 23:06:10.57ID:1xJevV/f
第四十五話「利休」(3)

 暮れも押し詰まった十二月下旬、本庄繁長とその息子・大宝寺義勝を伴い、上杉
勢が上洛する。

「関白殿下、こたびの本庄に対する嫌疑、われら上杉家一統、驚愕しておるところ
でござりまする」
さっそく、聚楽第の関白殿下に伺候した景勝と兼続、対面が済んだ後、茶室に招かれ
秀吉にねじ込む兼続である

しかし主人役を喜んで務めている豊臣秀吉、悠々迫らず
「直江、この茶碗はどうじゃ。日本ひろしといえども、いくつもない逸品じゃ」
信玄公は、茶など町人のすることじゃと馬鹿にしておったが、そんなことを
思いながら、仕方なく調子を合わせる兼続
「漆黒のなかに星空が煌めくような景色でございまするな。冬の夜空を映したよ
うな茶碗でございまするな。これが利休好みとか申される名品でございまするか」
「いや、利休好みは、このように端正なものではないなあ。織部などと、歪な素朴な
茶器を趣があると申して、愛でて喜んでおるわ。不健全じゃ」
そんな趣味の話はどうでもよい兼続

「本庄は、上杉の重臣。こたびは御館様も大変心を痛めておりまする」
無口な景勝、ここぞとばかり大きくうなずく
「はは。こたびの本庄の一件、本丸は伊達じゃ。本庄は伊達と親しいじゃろ。
伊達の奴は、葛西・大崎の一揆を扇動して木村を追い出し、そのあとに自分が
居座るつもりのようなのじゃ。蒲生が証拠を握ったと石田より連絡があった
伊達も都に召喚し、処罰するつもりなのじゃ。その、前触れとして本庄は
呼ばれたのじゃ」
「本庄は無実でございまする。どうか、寛大な処置をお願いいたしまする」

「それでよいのか」
それでよいのです
「本庄は、庄内で恨みを買いすぎじゃ。このまま、本庄が統治すれば、一波乱あるのは
必定じゃ。直江が直接治めたほうが良いのではないか、恨みを流し長久の治政を確立せ
ねばならぬのではないか」
なんと、千里眼じゃ。関白殿下は恐ろしいほどの切れ者じゃ
「喧嘩両成敗という名目で、本庄親子は流罪にする。しかし、時期を見て許すつもりじゃ
それで、どうか」
ホッとする兼続、上杉の鼎の軽重が問われる事態をうまく切り抜けることができたあ、
しかし、関白殿下は、なんでもごぞんじじゃな。おそらく、諜報機関が全国で活動して
おるのじゃろう。その指揮官は誰なのじゃ。
0257日曜8時の名無しさん
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2016/12/28(水) 22:34:17.84ID:o1o4LF6/
第四十五話「利休」(4)

「石田は陸奥の一揆鎮圧作戦の検分役として派遣されておるようでございまするな」
上杉屋敷に戻ってきた景勝と兼続、早速お船も交えて情勢分析をしている。
「石田が居てくれたら、なにかと好都合なのじゃが」
兼続が、ため息をつく
「そういえば、石田治部殿は、佐和山十九万六千石の領主に抜擢されたという
話を聞きこんでまいりました」
諜報活動というと、天井裏に潜んで、聞き耳をたてる情景を思い浮かべるが
噂話を聞きこんだりしてくることも、立派な活動である
「秀次公が、改易された織田信雄様の領地に移り、空いた近江の北半分の領主に
抜擢されたのでござるか。大出世じゃな。佐和山は、交通の要衝。信長公も腹心の
丹羽長秀殿を置いておった。石田も、これで名実ともに、関白殿下の側近中の側近に
なたっというわけでござりまするか」
0258日曜8時の名無しさん
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2017/01/01(日) 23:11:05.81ID:GV1PDGYv
第四十五話「利休」(5)

「伊達はどうなるのでしょうや」
「関白殿下の仰せでは、自筆の文書を押さえておるとのことで、下手すると
改易されるのではありますまいか」
「伊達自体、どうなってもかまわんが。このような形で東国の大大名が改易
される前例となることは、東国の領主は、みな内心嫌がっておるのではござ
いませぬか。徳川殿も前田殿も、嫌がっておられるのでは」
メダカが流れに逆らうように、本能的に嫌がっておるのじゃな、
「ところで、秀長公の具合はどうなのじゃろう」
融和派の後ろ盾である秀長公は、病に伏してもう半歳になる。
0259日曜8時の名無しさん
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2017/01/03(火) 19:38:37.94ID:UWWCv5aw
第四十五話「利休」(6)

「秀長公が重篤のようじゃ。京・奈良のすべての神社仏閣に、平癒のための祈祷
を行うようご命令があったそうじゃ」
朝食をたべながら、直江夫妻は情勢分析をしている。
「秀長公は、豊臣の柱石、余人を以て代えることのできないお方ですのに。
これで、石田たち側近の権勢が、よりますということですな」
「そなたは、石田と入魂ではないか。石田の出世は、われらにとって、悪い
ことではないと思うが」
「個人的には、石田の出世はよろこばしいことでございまする。
しかし、われらは所詮外様の大名にすぎませぬ。
十二分に気をつけねばなりますまい」

「伊達も都に召喚されるようじゃが」
「天正十九年も年初より、波乱含みでございまするな」
伊達を潰したい石田など側近と潰されるのを見たくない外様の大名。
徳川様や前田様。われらも、こちらに入る。
しかし、目立つ動きをして石田の機嫌を損ねることも得策ではないのう
まったく、謙信公のように独立独歩の戦国大名で居たかったぞ。
0260日曜8時の名無しさん
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2017/01/09(月) 23:30:21.25ID:eCFzIQI/
第四十五話「利休」(7)

 本庄親子は、奈良・西ノ京に配流と決定した。
坊主にでもなれということかあ。緩い処分に驚く、兼続である。
0261日曜8時の名無しさん
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2017/01/15(日) 23:04:11.28ID:Px+j6/2O
第四十五話「利休」(8)

「大仏様を野ざらしにしてよいのじゃろうか」
「鎌倉の大仏も、野ざらしのままになったようじゃが。そうなるのかな」
本庄親子を奈良に送ってきた兼続、松永久秀が大仏殿を焼いた跡をみて感慨にふける
「ご家老、わしはここでご赦免の日をまてばよいのじゃな、
仏門にでも入って修行いたそうかな」
本庄、殊勝じゃ。
「本庄、そなたに頼みがある。そなたは百戦錬磨の名将じゃ。
信長公と組んで謙信公を討たんとしたほどの外交手腕もある」
「ご家老、この期に及んで、わしの旧悪を暴露することもあるまい」
兼続、取り合わず話を進める
「そなたは一時、上杉を離れることになった。いずれ戻ってもらうがな
それで頼みたいのは、この世の動きと上杉の将来をそなたに考えてもらいたいのじゃ
岡目八目とも申す。すこし、離れたところから、見たり考えたりする者は
貴重じゃ、その役を頼みたいのじゃ」
「ご家老、重ね重ねのご厚情、痛み入り申す」
本庄頼むぞ
0262日曜8時の名無しさん
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2017/02/05(日) 22:25:25.47ID:DBJZ+99m
第四十五話「利休」(9)

「当家の家臣が、ご領内の奈良に配流となったので、ご挨拶に参上しただけで
ございまする。そうですか、そこまでお悪いとは存じ上げませんでした」
大和郡山城に豊臣秀長を表敬した兼続、
しかし応対に出た重臣藤堂高虎の顔は暗い。
「折角、お出でいただいたのに、主君も大変残念がっておられまする」
「以前にお目にかかったときは、有馬温泉に養生に行かれて、おかえりになった
ときでございましたが」
小田原攻めに参陣できないくらい、悪いのは知っておったが、
もしや命が尽きるほど悪いのやもしれぬな、命旦夕ということかな
慎重に探りを入れる兼続。しかし、病状を教えてくれるはずもない

「ところで、にぎやかな城下でございまするな。
これほど、栄えておるとは存じ上げませなんだ」
そうなのだ。物資が、続々と運び込まれ、業種ごとに区切られた町々で
商人によって、売りさばかれている。
0263日曜8時の名無しさん
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2017/02/12(日) 23:21:05.13ID:2pk5xz+w
第四十五話「利休」(10)

「そうじゃ。直江殿、よいものをお見せしましょう」
藤堂高虎、兼続を案内する。
「ここじゃ」
カラリと襖を開ける
「なんじゃ。こりゃ」
思わず口から嘆声がでる兼続

部屋の中には、天井までうずたかく積まれた金銀財宝があった
「数万両はあるじゃろうな。わしは数えたことないが」
「秀長公は理財の道に長けたお方なのじゃなあ」
「全くそうじゃ。兵糧から材木まで、なんでも商売されたのじゃ」
ふうむ。武士らしくはないが
「島津征伐の際に、友軍に兵糧を売って、軍監にわしは旅籠銭を持ち合わせぬ
と皮肉を言われたり、材木の商売をして、関白殿下に叱責されたこともあった」
藤堂高虎、主君の死にかけの主君の悪口を言うつもりなのか
「秀長公は、それほど商売に熱心じゃったのじゃが、なぜか分かるか」
0264日曜8時の名無しさん
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2017/02/26(日) 23:07:03.13ID:yDJkbyQF
第四十五話「利休」(11)

「それは秀長公が、関白殿下の補佐役として、長年資金繰りを担当されてきたから
ではござらんか。関白殿下が、お歳暮を山のように贈って信長公を感心させたお話
がございましたが、それも秀長公が但馬の生野銀山を接収したから可能になったの
ではございませぬか」
流石、佐渡銀山の代官をしているだけあって兼続、穿った見方をする。
「よくご存じじゃな。関白殿下は、大気者じゃから、後先考えずに、全財産を蕩尽して
後悔せぬようなところがある。鳥取城渇泣かしも、高松城水攻めも、大土木工事じゃった
から大変な物入りじゃった。秀長公は、いつも、胃が痛いとこぼされておったわ」
0265日曜8時の名無しさん
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2017/03/03(金) 23:26:02.59ID:EIn5BoDb
第四十五話「利休」(12)

「秀長公の領国である、紀伊も大和も難治の国なのじゃ。
紀伊は、雑賀や根来の鉄砲隊の故郷で、関白殿下が十万の大軍で攻め滅ぼされた
ところじゃし、大和は、興福寺やほかの寺社の勢力が強いところじゃ。京の公家との
つながりもある。
秀長公は、商業を振興することで、国を富ませ、民草の気風を変えることを
お考えになられたのじゃ」
なるほど。これは名案じゃな
0266日曜8時の名無しさん
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2017/03/21(火) 23:15:52.29ID:xfPQ6A7v
直江兼続.........内野聖陽 主演
お船................観月ありさ
上杉景勝.........渡辺謙
樋口惣右衛門..長塚京三
お藤.................紺野美沙子
直江景綱.........上條恒彦
仙桃院.............若村麻由美
泉沢久秀..........田辺誠一
甘糠景継..........近藤芳正
初音.................川栄李奈
上杉景虎..........高岡蒼甫
上杉謙信..........舘ひろし
豊臣秀吉..........近藤正臣
高台院..............松原智恵子
淀殿.................仲間由紀恵
豊臣秀頼..........松坂桃李
千姫.................広瀬すず
福島正則..........高杉亘
加藤清正..........宇梶剛士
小早川秀秋......佐藤健
石田三成..........香川照之
井伊直政..........村上新悟
毛利輝元..........小日向文世
前田利家..........竜雷太
徳川家康..........千葉真一
0268日曜8時の名無しさん
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2017/04/09(日) 22:39:10.41ID:uqbAZIUb
第四十五話「利休」(13)

「大和大納言様、ご逝去された由、二十二日のことでございまする」
上杉の諜報機関を握るお船が、景勝と兼続が話し込んでいる部屋に入ってきて
報告する。
やはり
「よいお人は長生きしませぬな」
「本当に、寛容なお方じゃった。助けられた諸侯も多かったじゃろうに」
「われらも、いろいろお世話になった」

「葬儀は、大和郡山城で、数日後に行われる由」
「われらも、惨烈せねばなるまいて」

「伊達殿が、そろそろ都に到着するようでございまするな」
「さて、秀長公が亡くなった直後に、伊達が来るのか。
一揆を使嗾した罪で、改易されるかもしれぬ」
「大きな政治的な変動が起きるかもしれぬなあ」
0269日曜8時の名無しさん
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2017/04/17(月) 23:10:43.47ID:iDSey+BD
第四十五話「利休」(14)

「今日の伊達は、流石でしたな」
聚楽第で、伊達政宗の査問があった夜、上杉屋敷で兼続が、お船に報告している
「ふうむ、伊達殿はうまく切り抜けられたのか」
考え込むお船。細い指で顎を支える。
「伊達殿の家臣が蒲生殿のところに逐電し、伊達殿が一揆の首謀者に出した書
簡も蒲生殿の手に落ちたと聞いたが、いかに申し開きしたのじゃ」
「伊達殿は、偽物である、真筆であれば鶺鴒の花押の眼に針で穴を通しておる
はずなのに、この書簡には、穴がないと申し開きしたのでございまする」
「みな、驚いたじゃろう」
「はっ。関白殿下をはじめ居並ぶ諸侯が、どよめきました」
「おそらく、伊達殿が一揆を使嗾したのは事実じゃ、葛西や大崎で大きな一揆を
起こして、混乱のなか木村殿を討ち果たして、自分の領地にしようとしたのじゃ」
「それがしも、そうじゃと思いまする」

「関白殿下もだまされたということか」
「いや、関白殿下も伊達の仕業であることは百も承知じゃと思いまする、
関白殿下は、伊達殿の器量に感心して、お許しになられたのじゃと思いまする」
0270日曜8時の名無しさん
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2017/04/28(金) 23:22:48.72ID:5oyRuqKg
第四十五話「利休」(15)

「まだ、葛西・大崎の一揆も鎮圧しているわけではない。
そのうえ、伊達を改易したら、奥羽は収拾のつかないことになる。
関白殿下の征明の戦がさらに遅れることになる。
関白殿下は、先まで深くお考えなのじゃろう」
流石、お船、大局のわかったことを言う。

「そういえば、利休様が、関白殿下の御不興を蒙って、都を追放されたとか」
「利休様は、長く枢機に参画されてこられたお方、われらごときでは、うかがい
しれない事情があるのだと思われまする。下手に、関係して、大やけどするやも
しれませぬな。見て見ぬふりをするのが、一番かと」
上杉家の家老として保身の術に、さらに磨きをかける直江兼続である
0271日曜8時の名無しさん
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2017/04/30(日) 23:01:45.15ID:KRe4E7X0
第四十五話「利休」(16)

「ご家老様、石田治部殿がお見えでございまする」
「お通しせよ」
何の用じゃろ。奥羽から帰ってきても忙しそうじゃが。悪い予感しかせぬが

「やあ、やあ。奥方、相変わらず、お美しいのう」
勝手知ったる他人の家、我が物顔にふるまう石田治部、自然に上座に座り
「手土産を持ってきた。これで一杯やらんか」
なんじゃ
「近江の鮒ずしじゃ。領民の献上品じゃ」
「そういえば、こたび近江十九万四千石の大名になられたそうで、お慶び申す」
「いやいや。関白殿下の御厚情にお応えするため、粉骨砕身するのみじゃ」
まんざらでもない様子の石田。
「まあ。一献。ところで、奥羽の情勢は、どうなっておるのじゃ」
「それより、そなた伊達をどう思う」
石田、あいかわらず、自分勝手だ
「伊達殿は、流石じゃな。花押の鶺鴒の眼に針で穴を通しておくなど、余人には
考えもつかぬからくりじゃ」
「奥羽の田舎者の考えそうな小細工じゃ」
憎々しげに石田が吐き捨てる

「ご用意ができました、さあ、こちらへ」
酒の肴を用意していたお船も話に加わる
「石田様は、伊達様をどうしたいのでしょうや」
お船が、やんわりと聞く
0273日曜8時の名無しさん
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2017/05/03(水) 23:00:32.37ID:23mspzsf
第四十五話「利休」(17)

「伊達殿は、なかなか風流なおひとでござるな。
詩歌に優れ、芝居気もある。関白殿下は、面白がっており、お気に入りじゃ、
しかし、野性が抜けておらぬ。機会があれば、四方を併呑しようと、虎視眈々じゃ
檻の中にいれて、矯正せねばなるまいな」
どういう意味じゃろう。
「四国に国替えという噂もあるようじゃが」
「大事の前の小事じゃ。われらは、征明の戦を控えておる。
いたずらに混乱を起こすような種をまくことはあるまい。
しかし、これはあくまで私見じゃ。関白殿下のお考えは、伺いしれぬものがあるのでな」
0274日曜8時の名無しさん
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2017/06/04(日) 22:22:22.24ID:a6fy2kv9
第四十五話「利休」(18)

「これは、珍味でござるな。魚というより牛の乳に近い味がいたしまするな」
「一年以上漬け込んでおった逸品じゃということじゃ。うまいじゃろう」
石田、何かを思い出したらしく、風呂敷包みを開ける
「直江、よいものをみせてやろう」
おおきな日本地図じゃな、

畿内 百四十万石
東海 四百九十五万石
東山 五百五万石
北陸 二百四十二万石
山陰 百十八万石
山陽 百六万石
南海 百四十万石
西海 三百六十二万石
合計 二千百八万石

「日本国の石高じゃ。陸奥と出羽の検地が済めば、完成する。
一万石あたりの動員兵力を、二百五十人とすると、五十万動員できることになる」
「軍役の基準というわけじゃな」
0275日曜8時の名無しさん
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2017/06/18(日) 22:01:35.22ID:juCYuO2o
第四十五話「利休」(19)

「ところで、直江。上杉に、奥羽への出兵を頼みたいのじゃ」
やはり、悪い予感が的中した兼続である
「伊達が上洛して、大崎・葛西の一揆が再燃したのじゃ
九戸の謀反も本格化しておる。
秀次公を総大将に、徳川殿など東国の武将を挙った圧倒的な大軍で鎮圧するつもりじゃ
それで、助勢をたのみたい」
頼んでいるようには、見えない石田である
「関白殿下より、正式なご命令がでるじゃろうが、心づもりをしておいてもらいたい」
用が済んだ石田、立ち上がり、
「わしは、これから九州に行かねばならぬ。ああ、忙しい、忙しい」
確かに、奥羽に派遣されたと思たら、次は九州、余人を以て代えがたい能力の持ち主だから
使いまわされておるのじゃな
0276日曜8時の名無しさん
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2017/06/18(日) 22:17:27.27ID:juCYuO2o
第四十五話「利休」(20)

「出兵は、春先になるじゃろうが、さきにわしが国元に帰り、準備をしよう」
景勝に報告すると、景勝は、先に帰国するという、戦に目がないのは、先代譲りじゃな
「与六、そなたは残余の兵を率いて、ゆるゆる帰国せよ」
早速次の日に、わずかな旗本を率いて帰国する景勝である

「御館様は、武人じゃから、血が騒ぐのでしょうか」
「御館様は、宮廷政治が苦手なのじゃ。まあ、好きなものもおらぬじゃろうが。
これ幸いと、増援要請を口実に帰国されたのじゃ。そして、この選択は正しい。
秀長公が亡くなってより、権力構造が変化しておる。
利休殿の、京都追放も変化の現れじゃ、
触らぬ神に祟りなしじゃ」
流石、お船、相変わらず、鋭いことを言う
勉強になるわー
0277日曜8時の名無しさん
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2017/06/25(日) 23:10:46.02ID:DkWbZOOt
第四十五話「利休」(21)

「直江、そなた上杉の軍勢を率いて、利休の屋敷を警護せよ」
警護!何のために。聚楽第内の利休屋敷をけいごするのじゃ
「細川忠興や古田織部が奪還のため兵を動かすやもしれぬ、充分注意すべきじゃな」
「承りました。増田様」
使者として、関白殿下の命令を伝える増田長盛に応答する兼続である
しかし、大変なことになったな
お船殿に相談しなければなるまい
0278日曜8時の名無しさん
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2017/07/02(日) 19:39:28.10ID:QNz6Lm1z
第四十五話「利休」(22)

「増田様がお見えになったとか、どういうことじゃろう」
「石田が不在でございまする。利休殿と、さほど親しくなく、軍勢が揃っておるから、お鉢が
回ってきたのでしょうや」
「それに、上杉というかそなた自身が信頼されておるということじゃな」
「困りまする。事情も分からぬのに、難しいお役目をおしつけられて」
直江夫婦、いつものように激論中。お家の浮沈がかかっておるから当然である

「誰か、事情通のお方にお伺いする必要がありまするな」
「古田織部殿や細川忠興殿に聞いてみるか」
「かえって拗れるのでは。それに関白殿下に痛くもない腹を探られるやもしれませぬ」
「そうじゃなあ。誰かおらぬか」
「細川幽斎殿は、どうじゃろう」
「忠興殿の御父上じゃし、われら上杉とも、謙信公以来の友誼がある名案かもしれませぬな」
0279日曜8時の名無しさん
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2017/07/09(日) 00:02:11.02ID:MAygSUKx
第四十五話「利休」(23)

「夜分、すまぬのう」
細川幽斎、兼続の出した使者と一緒に、上杉屋敷にやってくる
「聞いたぞ。直江が利休屋敷を警護することになったそうじゃな」
話が早い、幽斎殿も、苦慮されておるようじゃな
「それがしの妻でございまする、こちらへ」
「おお、上杉の諜報を取り仕切る才女じゃと聞いておるぞ」

「幽斎様、いろいろ教えていただきたいのでございまする」
0280日曜8時の名無しさん
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2017/07/09(日) 22:45:07.04ID:MAygSUKx
第四十五話「利休」(24)

「細川様、利休様の屋敷の警護を命ぜられておりまする。
増田殿のお話では、古田織部殿やご子息の忠興殿が、利休様の身柄を奪還せんと
するやもしれぬので、警戒せよとのことでありました、
一体何が起きておるのでござりまするか」

「世情言われておるのは、大徳寺山門の利休像が不敬にあたるとか。
何のこじつけでござりまするか」

直江夫婦、かわるがわる細川幽斎に質問する
細川幽斎、本能寺の後、家督を息子・忠興に譲るも、秀吉の御伽衆の一人として重用されている
お気に入りの一人である、また、利休とも親しく、利休が京より追放されたとき、見送っている。
0281日曜8時の名無しさん
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2017/07/18(火) 22:30:41.43ID:lP50FZvs
第四十五話「利休」(26)

「大徳寺山門の二階に雪駄履きの利休像を設置し、その下を関白殿下に通らせようと
したことが増上慢であると批判されたこと。また、大徳寺山門改修の費用を捻出する
ため、安物の茶器を高値で売却したことが売僧の所業と批判されたと聞いておりまするが」
お船が、細川幽斎に尋ねる
0282日曜8時の名無しさん
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2017/07/21(金) 23:27:05.93ID:EMR+PVBe
第四十五話「利休」(27)

「口実じゃ。後付けの口実にすぎぬ。山門など二年も前の話じゃ。
利休殿は、天下一の茶人じゃ。天下一の利休殿が、よいと決めれば高くなるのは
当然のことじゃ。何の不思議もない。そんなことは、わしが初めて会った時から
やっていたことじゃ。昨日今日始めたことではない」
細川幽斎、熱弁を振るう
0283日曜8時の名無しさん
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2017/07/22(土) 23:24:54.98ID:KbkitLkO
第四十五話「利休」(28)

「大徳寺の古溪上人をご存知か。先だって亡くなった秀長公の導師を務められたお人じゃ」
細川幽斎、長身雄大な身体をかがめ、声を細める
「古溪和尚は、大徳寺に総見院を創建し、信長公の菩提寺・天正寺の創建を関白殿下に任された
お方じゃ。しかし、小牧の陣で信雄様との講和が成立したので、天正寺の建設は中止となったのじゃ。
もともと、天正寺の建設は、信雄公と戦うための大義名分にすぎなかったのじゃからな。
ところが、古溪和尚は、納得せず、関白殿下に、再三反対の意見具申をしたので、関白殿下
の怒りをかい、九州に配流となった。大徳寺の山門は、古溪和尚が留守の間に、利休殿が
造られたものなのじゃ」
0284日曜8時の名無しさん
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2017/07/24(月) 23:08:46.88ID:0ZfZ5N3B
第四十五話「利休」(29)

「大徳寺の山門・金毛閣というのじゃが、一休禅師を偲んで、連歌師の宗長というものが
造り始めたのじゃが、資金が尽きたのか、数十年放置されて負ったのじゃ。それを利休殿
が資金を出して、二階建てを完成させたので、大徳寺・古溪様は、利休殿の働きを多とされ
顕彰する目的にで利休殿の木像を造って、二階に安置したのじゃ。利休殿が、自ら進んで
造ったものではないのじゃ」
「では、そのことを申し開きして、お詫びすれば、関白殿下の御勘気も解けるのでは
ありませぬか」
0285日曜8時の名無しさん
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2017/07/24(月) 23:17:47.96ID:0ZfZ5N3B
第四十五話「利休」(30)

「いや、利休殿が関白殿下にお詫びすれば、申し開きなどせずとも済む話なのじゃ、
前田利家様も何度も、お詫びするように説得を続けておる。北政所様などにお願いする
ようにも、説得しておるのじゃが、利休が強情なのじゃ」
「関白殿下は、利休殿がお詫びするのを待っておられるということでありまするか」
「そうじゃ。なんといっても、利休は関白殿下が天下一の茶人に仕立て上げた関白殿下
の駒、大事な駒じゃからな」
透徹した人間関係理解を披歴する細川幽斎、醒めたところが足利義昭・信長・秀吉と
主君を変えても、誰からも後ろ指さされない遊泳術なのじゃろうか
0286日曜8時の名無しさん
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2017/07/29(土) 23:30:34.82ID:vX5kK0bV
第四十五話「利休」(31)

「利休殿には、お詫びしたくない心情のようなものがあるのでしょうか」
絶体絶命なのに、死ぬことも恐れてはいないのじゃろうか

そういえば、関白殿下が利休殿の庭の朝顔が満開なことを聞きつけ、見に行ったら
すべてむしり取られており、床の間に一輪だけ飾っておったと聞くが、一歩間違えば
御不興を蒙ったやも知れぬ。一輪しかない朝顔が萎れたら、どうするつもりだったのじゃろうか
利休殿は関白殿下と命懸けで戦っていたということなのじゃろうか

「それがあるのじゃ。関白殿下は御かわりになられた。側近として関白殿下の覇業に
協力してきた利休殿には、失望があるのじゃ」
0287日曜8時の名無しさん
垢版 |
2017/07/30(日) 23:11:05.12ID:Akwahaua
第四十五話「利休」(32)

「利休殿は信長公の茶頭じゃったお方じゃ。
信長公は、茶の湯御政道と称されて、茶の湯に特別な意義を付与された
茶の湯は、恩賞として許可されるものじゃった
関白殿下も中国戦線での功績により、はじめて茶の湯を嗜むことを許可された
いわば、関白殿下にとって、利休殿は、信長公と関連付けて記憶される仰ぎ見る存在
なのじゃ」
ふうむ
「関白殿下は、織田家内の政治工作の際、利休殿の人脈を利用した。
そして、利休殿も、関白殿下を信長公を超えていかれるお方ということで、喜んで
尽くしてこられたのじゃ。正親町天皇への献茶、北野大茶湯、どちらも関白殿下の
政治力の伸長のための大きな出来事じゃった」
0288日曜8時の名無しさん
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2017/08/01(火) 22:59:33.38ID:NE3VQX22
第四十五話「利休」(33)

「若い頃の、というか本能寺以前の関白殿下は、朗らかで前向きな働き者じゃった
それに、よく気が付く、誰にも優しいお人じゃったな。
関白殿下に一度でも会えば、誰でも好きになる。このお方のために、働きたいと思う
人気のあるお方じゃた。それゆえ、関白殿下が織田の政権を簒奪しても、織田家中は
従ったのじゃ。誰しも、若い頃の関白殿下を知っておったからのう。
ところがじゃ、関白殿下は、変わられた。
そなた、昨年冬の落書の事案を知っておるか?¥」
0289日曜8時の名無しさん
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2017/08/13(日) 23:14:17.78ID:RTx0XnlP
第四十五話「利休」(34)

「聚楽第の落首のことでござりまするか」
「そうじゃ、聚楽第の南鉄門に夜陰に落首したものがあったのじゃが、
激怒された関白殿下は、番人七名を残酷に処分した。一日目に鼻を削ぎ、二日目に
耳を削ぎ、三日目には、逆さ磔にしたのじゃ。それだけではない、関与を疑われた
者の親族まで、七歳から八十歳までの者共が百余名、六条河原で処刑されたのじゃ」
なんと、残酷な話じゃ
0290日曜8時の名無しさん
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2017/10/03(火) 23:24:17.70ID:keaj9OqG
第四十五話「利休」(35)

「われらも戦国を生きる武士じゃから、極悪非道な所業を積み重ねてきておる。
だまし討ちも数知れず、無辜を殺傷したこともある。しかし、すべて、理由が
あることじゃ。関白殿下も、播磨平定の際には、一城皆殺しにされたこともあったが
理由があったことじゃ。しかし、今回の刑罰はなんじゃ。理がないのではないか」
0291日曜8時の名無しさん
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2017/11/03(金) 23:10:42.73ID:A4UP8pFn
第四十五話「利休」(36)

確かに、冷静な関白殿下にしては、不可思議なふるまいじゃな
「よほど、逆鱗に触れるような内容の落書だったのでございましょうな」
それとも、何かほかの魂胆があっての振舞なのじゃろうか
「土民どものやることなど、目くじら立てずに、笑っておればよいものを。
今回の一件で関白殿下は、京の輿望を失ったこととあいなった
武士を船に例えれば、民草を船を浮かべる水のようなものじゃ
なんでもやってよいというわけではない」
細川幽斎、かなりはっきりものを言う
0292日曜8時の名無しさん
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2017/11/12(日) 22:09:48.06ID:OS/Gue9+
第四十五話「利休」(37)

「お館様より、お手紙が届いておる」
先日、帰国した景勝さまは、部府帰国されたようじゃな。
「春になれば、娘のお松を京に上らせるというて下されておられる」
なんと
「なんでも、お転婆が過ぎて、乳母の手には負えないそうじゃ。
母親の手元で育てるのが一番じゃということじゃ」
「有難いお話でございまする」

「関白殿下も、鶴松君の行く末を心配されて心を乱されておるやもしれぬな」
突然、するどいことを言うお船。
0293日曜8時の名無しさん
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2017/11/12(日) 22:54:58.44ID:OS/Gue9+
第四十五話「利休」(38)

「動員兵力は千三百余、完全武装で蟻のはい出る隙間もない警備をするのじゃ。
妙な気を起こすお人が出てこぬようにな」
翌朝、部署を定める兼続
「古田織部殿や細川忠興殿に使いを出して、ご挨拶しておいたほうがいいのではないか」
お船が念入りな作戦を思いつく
「そうですな。丁寧な口上をいわせましょう」
まさかとは思うが、京の都で市街戦をするわけにはいかぬからな。
それこそ、鼎の軽重を問われる事態になりかねぬ
0294日曜8時の名無しさん
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2017/11/27(月) 23:04:58.77ID:RhLvqnbg
第四十五話「利休」(39)

「直江山城様、主人がおもてなしをしたいと申しておりまする」
利休の下人が、兼続を呼びに来た。
なんという胆力、いつ殺されるかもしれないのに。
茶の湯の大成者ともなると、そこらの武将より肝が据わっておるようじゃ
「有難い。それがしも利休様にお目にかかりたいと思っておりました」
0295日曜8時の名無しさん
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2017/12/27(水) 23:06:43.51ID:ASxws8ur
第四十五話「利休」(40)

招じられた茶室は、二畳の閉ざされた空間である
にこにこ笑みをたたえながら、流れるような所作でお茶を点てる利休
昨日より大徳寺山門の利休像が、さらされておる。
謝らない限り許さないという関白殿下の意志の現れじゃ
利休殿も百も承知じゃと思うが、一言詫びを入れればすむものを。
「結構なお手前で」
一期一会というが、本当に一期一会になってしまう。
「関白殿下は、利休殿がお詫びするのを十日ばかりお待ちになり、
とうとうしびれを切らして、利休殿の木像をさらされました。
関白殿下は、天下人。どんなに後悔していても、ご自分の出された指示を撤回することは
できませぬ」
「綸言汗の如しということですかな」
なんだ、利休殿もわかっておられるのか。

「関白殿下には天下を統べる力量と意志がございましたな」
悠然と昔話を始める千利休
「そこが柴田殿と違うところじゃったな」
0296日曜8時の名無しさん
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2017/12/29(金) 22:54:54.82ID:dbbTzn5R
第四十五話「利休」(41)

「中川瀬兵衛殿殿をご存知か」
「山崎合戦で先鋒として奮戦し、賤ケ岳の戦いでは、佐久間盛政の猛攻にあい。勇戦
むなしく討ち死にされた勇将でございまするね」
「古田織部殿の義兄にあたるお人で、これは織部に聞いた話なのじゃが、山崎合戦の
あと、各陣を巡察した秀吉公は、瀬兵衛大儀と言い捨てて駕籠から下りもせず行ってし
まわれたそうじゃ。瀬兵衛殿は、もう天下人気取りかと言い返したそうじゃ。お二人は
仲良しじゃったからのう」
利休様、何のお話ですかな。
「関白殿下は、本能寺で信長公が亡くなったことを知った瞬間から、天下を意識されておったのじゃ。
信長公が亡くなって何をしてよいか、わからなくなった柴田殿や滝川殿とは、そこが違う」
お話の意図が読めませぬ
0297日曜8時の名無しさん
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2017/12/29(金) 23:17:49.81ID:dbbTzn5R
第四十五話「利休」(41)

「それがしは、関白殿下がおつくりになられたものでございまする。
禁中献茶奉仕をさせていただき、利休の居士号も朝廷より賜った。
堺の一商人にすぎないのに、天下一の茶人といわれるようになった。
すべて、関白殿下のお引き立てによるものでございまする」
そこまで、わかっているのなら、一言お詫びしていただきたいのですが
しかし、重ねて説得の言葉をいえない兼続である
0298日曜8時の名無しさん
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2018/01/07(日) 22:53:25.55ID:BkqWqrJz
第四十五話「利休」(42)

「関白殿下は、何事も一生懸命のお方でござりまするな。
信長公は、没頭しているようで、どこか醒めたところがあられた。
茶道の名物も収集して自慢されておったが、本当に心から、茶の湯がお好きだったのか
利休には、わかりませんでしたな。
関白殿下は、違う。
心から、全身全霊で、楽しんでおられる」
確かに、関白殿下は、冷静で考えの深いお方じゃが、なんというか、白けたところが
ないお人じゃな。諦めとか、限界とか、あまりお考えにならないのかも知れぬな。
遊ぶことも一生懸命、遊んでるんだけど、遊びがないのじゃ、打てば響くお方なのじゃ。
それゆえ、些細なことでも、立腹されるのじゃろうか。
とことん真面目なお方なんじゃろうな。
「関白殿下は、信長公を超えようとされ、超えたと思われておられる。
しかし、それは違う」
0299日曜8時の名無しさん
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2018/01/08(月) 03:39:57.12ID:ZCfTy3RT
タイガドラマモオモシロイケドオススメノジョウホウ
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4AHV7
0300日曜8時の名無しさん
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2018/01/16(火) 22:25:46.25ID:h6lUReNS
第四十五話「利休」(43)

「関白殿下は、信長公の構想をなぞっておるに過ぎませぬ」
「徳川様が最後の客人かと思うておりましたが、最後に直江殿にお目にかかれて幸せで
ございました」
0301日曜8時の名無しさん
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2018/01/25(木) 22:30:47.13ID:9MgEjprL
<反省会>

「利休様って、理解するのが難しいお方じゃのう」
「御意。考えなおさねばなりますまい。時間を空けて、考えましょう」

「ところで新しい大河、いかがなものでしょうか」
「筆者は、司馬遼太郎大好き人間で、特に「翔ぶが如く」は朝日新聞に連載されていた
頃から愛読しており、どうしても比較してしまうのじゃ。
「翔ぶが如く」の原作は、明治以降の西郷の話だけど、大河は、脚本家の先生が
司馬先生の作品を上手く整理して、幕末編を付け足したのじゃ。特に、参勤交代というか、
斉彬の兵を率いて江戸に赴き、武力を背景に幕政の変革を迫る計画に焦点を当てたところが
秀逸じゃったな。結局、西郷の西南戦争は、斉彬の計画をなぞったものじゃ」
「斉彬公が生きておれば、幕末も相当変わったものになったでありましょうな」
「この時代の大名家では、毒殺が多かったようじゃな」
「堀秀政殿と同じように、水にあったったのではありませぬか」

「解説本を見てないから、原作も読んでないから、何とも言えぬが、面白ければいいな、
今までのところ、可もなく不可もないという感じじゃな。すこし、軽躁なところが鼻に
つくことが心配じゃな」
0302日曜8時の名無しさん
垢版 |
2018/01/30(火) 22:25:53.13ID:4tYaO/MZ
第四十六話「文禄」(1)

 天正十九年三月、南部家の家臣である九戸政実が挙兵、鎮圧に手間取る南部家当主・
南部信直は豊臣秀吉に、援軍の派遣を要請した。
同年六月、豊臣秀吉は、東国の諸将に援軍の編成を下令、総大将豊臣秀次以下、数万の
大軍の大軍が、九戸討伐に出陣することになった。

「われらは、最上領を通行することとあいなりました。毒殺には留意せねばなりますまい」
旗下の精鋭を本庄に殲滅され、庄内を奪回された最上義光は恨み骨髄のはずじゃ。
千載一遇の好機じゃと、お館様の毒殺を企図するやもしれぬ。
「くれぐれもご注意あそばすように、お願いいたしまする。
みなも、ここは戦場じゃと思え」

上杉軍が最上領に進入する
0303日曜8時の名無しさん
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2018/02/10(土) 22:30:20.46ID:RRlip7hV
第四十五話「文禄」(2)

「しかし九戸政実は、何を考えておるんじゃろ」
景勝が、もっともな疑問を口にする。
天下の大軍を相手に勝ち目などないことも分からないのじゃろうか。

「家督争いが拗れておるようでございますな。九戸政実の弟も有力な後継候補じゃった
ようで、武勇に優れる九戸政実は、速戦して南部の当主を討ち取り、自分の弟を当主に
押し込んで既成事実化して、改めて関白殿下に承認してもらう心づもりだったのではあり
ますまいか」
軍監として同行する大谷刑部が懇切丁寧に教えてくれる。
「ところが、南部の当主殿は、徹底して決戦を回避して、関白殿下に救援を求めてきたので
ございまする、当主殿の作戦勝ちといったところでございまするな」
ほお。惣無事令の精神からいっても正しい進退なんじゃろうが、
しかし武士といえるんじゃろうか。

「各軍勢の部署は以下の通りでございまする。
白河口は総大将秀次公に徳川殿
津軽口は前田利家殿・利長殿
仙北口は上杉景勝殿
相馬口は石田治部、佐竹義重殿
これに地元の大名が参加することとなっておりまする。
予定される総兵力は六万余。この大軍で、奥羽の一揆を徹底的に鎮圧いたしまする」
0304日曜8時の名無しさん
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2018/02/11(日) 21:41:09.70ID:iSIo3EUr
第四十六話「文禄」(3)

「最上義光も案外じゃったな」
行軍中の景勝がつぶやく。
そうなのだ。
精鋭を本庄に殲滅され、庄内を奪回されて恨み骨髄のはずなのに、そんなことはおくび
にも出さず、上杉勢の行軍に、いたれりつくせりのもてなしをする最上義光なのである。

「われらは、足利一門・斯波の嫡流でございまする。足利と上杉は、夫婦のような関係
を何百年も続けてまいりました。先祖同様こんごとも、よしなにお願いいたしまする」
おべんちゃらも言う最上義光。
流石に、調略のみで出羽に一大勢力圏を築き上げただけのことはある。
誠心誠意嘘がつける男じゃ。

「最上は、秀次公に取り入っておるようでございまするな」
ぬかりなく最上義光の周辺に細作を配置している兼続である。
「どうも、庄内の裁定で、われらに負けたため、関白殿下に取り入るのは諦めて、
秀次公を先物買いする気のようでございまするな」
「留意せねばならぬな」
われらは、関白殿下の側近、石田と親しい。親しすぎるほどじゃ。
しかしそれゆえ、秀次公に取り入るのは、危険なことなのじゃ。
石田に臍を曲げられて、関白殿下に讒言でもされたら、あっという間にお家滅亡じゃ。

「九戸攻撃を急がねばならぬのう」
今後のことを考えて功名をたてようとする景勝。
いや、これだけ道が悪いと、六万の大軍が集結すると、補給に詰まることになるじゃろ。
むしろ、出羽の一揆をひとつずつ、着実につぶすことのほうが肝要じゃ。
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