病の信玄を見舞いにきたことで、最近の安っぽい脚本なら、涙の再会劇にしちまうんだろうが、平幹の信虎は違った。
「父を逐うことは出来ても、天下取るは、怖いか!」
「小心者めが、親不孝ものめが!」
「わしより、国主の座奪うて、30年間なにをしておったのじゃ!あい変わらず臆病心を養のうておったのか」
「わしのこの、傷を見よ。そちがわが命に従わず、駿河攻めを遅らせたために、今川の兵より受けし、刀傷ぞぉぉっ!」