【中国系の場合、苦力(クーリー)という奴隷としてアメリカに連行された人が多かったものですが、日本の場合は違います。
  国策としての移民です。とりわけ、ブラジル移住の場合は、国を挙げて嘘をついたものだからタチが悪い。
ブラジルにいけば土地があるよ! 狭い日本にいるよりいいよ!そう誘っておいて、たどり着いた先は荒地でした。
地球の裏側まで来たら帰るわけにもいかない。
 ・・・(中略)・・・日系人の苦悩はかくして始まるのです。
  満洲、台湾、朝鮮半島、樺太、東南アジア……日本は領土を拡大し、移民を推進します。では日本では人が余っていたんだな、と思われるかもしれませんが、それも単純に言い切れません。
  これは日本だけでなく世界中で見られた傾向ですが、低賃金でキツい仕事をする安い労働力が求められ、海外から日本へ移り住む人たちもいました。要するに日本から出入りする人が多かったのです。
  その根本を見ていけば、経済に行き着くことは当然です。養いきれない日本人は移民してください。低賃金労働をこなすために、海外から移住してきてください。全ては経済のため、これぞ資本主義――そうなることは当然であって、その「資本主義の父」が何を言ったところで虚しいだけです。
  ちなみにアメリカでは、日系人の差別を認め、謝罪し、かつ顕彰するようになりました。今年もその象徴的な出来事がありました。
〔リンク記事〕◆米海軍 駆逐艦「ダニエル・イノウエ」就役 日系人の名前は初(→link)】(2ページ目)
 → 「奴隷として連行」するよりも、政府の調査不足により「十分な耕作地が確保できなかった」ことの方が「タチが悪い」と評する武者氏の人権感覚が理解できない。だったら猪苗代を放棄して斗南への移住を選択した旧会津藩首脳はどうなるの?
  武者氏が資本主義経済を憎悪していることは承知しているが、レビューと称する駄文を書いて小遣いを稼げるのは自由民主主義(≒資本主義の基盤)のお蔭でしょう。
  安い労働力といえばアメリカの最下層の奴隷の綿花栽培が想起されるが、同じ状況に置かれていると噂されるウイグルの人々を搾取しているのは一応「共産主義国家」なんですけど。
  米国は、戦時中に日系米国人の財産を収用し強制収容所に放り込んだこと(ドイツ・イタリア系にはこんなことをしなかった)を不当な差別と謝罪したが、今日のBLM運動に対応するような意味での日系人差別を謝罪したことはないと思うが、元テンプレ厨の知識不足か?
  日系人が米国内の差別を解消するため第442連隊に参加し、例えばダニエル・イノウエなら右腕を失う奮闘をみせたことを武者氏はどのように考えるのか?

 【彼は青年期、武士だからと身分で自分を差別するから幕府はダメだと激怒しておりました。明治維新で、そんな世の中は終わりましたか?海軍は薩摩。陸軍は長州。
  そう言われ、長州出身だと名前が書ければ陸軍で出世できると皮肉られたほどです。反面、佐幕藩出身者には分厚い壁が立ち塞がりました。現代の日本でも、山口県と鹿児島県は、自県出身の首相が多いと自慢されます。】(3ページ目)
 → 鹿児島出身の首相といえば、黒田清隆(第2代)、松方正義(第4代・第6代)、山本権兵衛(第16代・第22代)くらいしか思い浮かばないのだが。むしろ群馬県出身者の首相の方が多いような・・・
  なお、法的に固定された身分制度(江戸時代にも抜け道はあったが)と、財産承継や縁故による社会的階層の持続とを同一視はできない。この点は、もしかすれば武者氏のマルクス主義への理解の浅薄さを示すものかもしれない。

 【渋沢栄一も結局実力ではなく、長州に食い込んだからでしょう。大河の主役になるのは、お札の顔だからですよね。そう問われると本作のスタッフは苦しい言い訳をしておりましたが、そこを突っ込むジャーナリズムすら存在しないのですから嘆かわしい。】(3ページ目)
 → 「スタッフの苦しい言い訳」とは具体的に何かを指すのか?『いだてん』を無条件に「国策大河」と批判する層(武者氏を含む)にもいえることだが、テレビ番組で、世間で話題になりそうな人物・テーマを採り上げると脊髄反射的に「忖度!」と叫ぶことからはいい加減卒業されてはどうか?
  なお、小檜山(武者)氏は『花燃ゆ』を批判する際に、よく「真田幸村没後400年に幕末長州大河をもってきたのはなぜか?」と主張するが、没後(生誕)○年という発想は、「来年は五輪」「まもなく紙幣の肖像」だから大河で採り上げるという発想とは五十歩百歩のように思う。