>>672の続き

――【「人物叢書『最上義光』は迷わず買いだ! 発売直後にバカ売れ瞬殺で重版決定のナゾを解説」(by 最上義光プロジェクト)(@2019/11/19(2016/03/23))より引用開始】――
このように地元では人気も知名度もそれなりにあった最上義光ですが、不幸にも彼が全国的にお茶の間デビューを遂げたのは、悪役としてでした。
昭和62(1987)年の大河ドラマ『独眼竜政宗』は全国的に大ヒットしました。
このドラマでの義光は、陰険な策謀をめぐらせ、主役である伊達政宗を迫害する伯父という役所でした。とはいえ、本作の義光は単純な悪役ではありません。
原田芳雄さんの熱演もあってか、ヒールとしての存在感と格好よさ、さらには我が子の死を悼む情け深さや人間臭さもありました。悪役といえど、魅力的ではあったのです。
今でも「原田芳雄さんの最上義光は格好よかったのに何が不満なの?」と言われることがあるほどです。
しかし、地元山形にとってこの義光像は受け入れがたいもので、NHKに抗議しました。
前述の通り義光像は魅力もありましたし、フィクションだから抗議するほどでもないという意見もあり、山形側の抗議はおかしいという意見も聞かれます。
ただ、『独眼竜政宗』は現在の大河で同じ事をしたら袋だたきにあうほど事実をねじ曲げていることは確かです。
例えば長谷堂合戦では、実際には参戦しなかった伊達政宗が山形まで駆けつけ、直江兼続と戦う描写になっています。
しかも史実では兜に銃弾を受けるほど勇猛果敢に戦った義光が、怯えてろくに戦わなかったような描かれ方です。個人的にはこれは抗議もやむなしではないか、と思います。
次に最上義光が大河に出演するチャンスがあったのは、平成21(2009)年直江兼続主役の『天地人』でしたが、なんと出番がありませんでした。
長くなってしまいましたが、『独眼竜政宗』は義光像に大変な悪影響を与えました。それほどでもない知名度の人物が、お茶の間テレビ全国デビューで陰険な悪役像を植え付けられてしまったのです。
――【引用終了】――

続きます