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kot********さん

 はっきりいうと、司馬遼太郎は「西郷に敗れた」んただと思います。
 最初のほうで、頻繁に回想シーンを繰り返し、西郷の本質は何なのか、ということを追及しましたが、中盤にあきらめ、
後半は「西郷という巨大な人望に振り回された、周囲の人々」を描くことに方針転換しています。

 それくらい西郷の本質、彼の求めた理想の正体は難しい。無知な人はそのほんの一部のみをとらえて全貌が分かった気になり、善だ悪だとかますびしい。

 私もよくわかりませんし、分からないことを「分からない」というのが誠実な態度だと思います。
 少し役に立ったのが、上田滋「西郷隆盛の世界」(中公文庫)でした。ご参考までに。
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/List?cnt=3

 また司馬の師匠でもあり、熱烈な西郷信者でもあった海音寺潮五郎の一連の「西郷もの」も目を通されると良いでしょう。
手っ取り早くいくなら、司馬と海音寺の対談「日本歴史を点検する」(講談社文庫)がお手軽。あの司馬遼太郎が、西郷のことで海音寺に圧倒されていますよ。
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/List?cnt=7