来年4月に退位が決まっている天皇陛下の若き日、先生役を担った男がいた。
慶應義塾の塾長だった小泉信三だ。終戦後、皇太子殿下の教育を預かる実質的な責任者となった小泉は、世紀のイベントである「ご成婚」にも大きな役割を果たした。戦後、「日本国の象徴」と定められた新たな天皇像とは、どのようなものかを模索し、新しい皇室のあり方に大きな影響を与えた小泉信三。波乱に満ちた生涯と若き日の陛下と歩んだ日々を描く。